2004-07-04 [長年日記]
_ [Life] The Flash Mind Reader
これなんだが、くやしいがタネがわからん…。
ukaiさんにヒントをもらってようやく分かった。一覧表まで消えるので錯覚して悩んでしまいました。なるほどね。
_ [OpenSource] もの言わぬ日本人ハッカー
別に西田さんに含むところはないし、Linuxカーネルの開発自体にはノータッチとは言え、私自身も他のソフトウェアの開発過程でころころ変わる実装に腹を立てることがあるので気持ちはよく分かるのだが、この手の話を見るたびに残念に思うのは日本人ハッカーの妙な「辛抱強さ」である。ようするに、自分の根城で愚痴るだけで文句を直接相手に言わないのだ。それで良いというなら仕方がないが、それでは何も変わらない。
ちなみに、これは私が今まで見てきた中では日本人に特有の性質のように思う。ガイジンはどんなつまらないことでも直接文句を垂れてくるもので、それはそれで腹が立つわけだが、少なくともある特定の誰かにとって何らかの問題が発生しているということははっきり分かる。それに対しては対策するなり反論をぶつなり何らかのアクションがとれるわけだ。ものを言わなければ問題は存在しないことにされてしまうので、当事者たる私たちが困る。彼らは何も困らない。
今回のケースで言えば、Rustyにしろ誰にしろメールアドレスは公開されているわけだし、あるいは、例えばlkmlで、お前ら文書書け、ころころインターフェース変えるな、俺は困るんだと問題提起してみたらどうか。ポイントは、「みんなが」困るのではなく「俺が」困るんだというところである。その代わり、「俺」にとって困る理由をきちんと理論武装しておかないと逆襲されることもある。論破されたら引き下がるしかないし、無視されたならば、そのときこそおおっぴらに糾弾するなり退出するなりすれば良い。それはそうと、需要があって、当事者にやる気がなく、しかもやること自体は手間暇さえかければ不可能ではないという仕事は、まさしく飯の種であって、金鉱が転がっていると言うべきではないか。実際西田さんも触れているように、IBMはdWという形で実にうまいポジションを占めている。真に有効な宣伝費としてみれば安いものでしょう。
「純粋に」ハックだけしたいというハッカーにとって、おそらくオープンソース(というか厳密にはオープンソースによるバザール開発だけれども)は生き辛い世界だと思う。なぜなら、単にハックする以外に、積極的に自己主張し、議論で打々発止やりあうというのが、バザール開発では開発過程の主要な一部としてどうしても必要になってくるからだ。ディベート能力はバザール開発に不可欠である。こうした性質をさして、昔RIETIだかどこだかの討論会で私はオープンソースには「アングロサクソン的な性質」があるので日本にはなかなか本当の意味では受容されないかもしれないという趣旨のことを述べたことがある。アングロサクソン的という語の用法が合っているかあまり自信がないのだが、バザール開発というのは実は本質的な部分が洋物であって、見掛けの分かり易さと相反して日本では案外感覚的なレベルで理解されにくいのではないか、というのが今も昔も変わらぬ私の考えだ。例えばきんねこさんが
世間では、商用に開発されたコードをオープンソースにする動きが活発であるが、そろそろ、「伽藍とバザール」で提示されたオープンソースの開発モデルについての再検討が必要な時期に来ているのではないかと思う。
と述べているが、私の理解は逆で、そもそも日本人はあまりオープンソースによるバザール開発のしくみを理解してこなかったのではないか。
そういった意味では、続く部分の「バザールの中にも伽藍が出来てしまっており、その僧侶のきまぐれで市場は意味の薄い賑わいと混乱を受けている」と言うのはおかしいと思う。相手を伽藍の中の僧侶扱いしてしまっているのは実は私たちのほうである。ドアをノックしてひきずりだすべきだ。
逆に言うと、どうしてもハックだけしたい、余計なことはしたくないということであれば、ハックの内容を理解した上でそうした交渉ごとを代わりにやってくれる人を探してくればよいと思うのだが、日本のように文系理系がはっきりわかれているとなかなか難しいかもしれない。
2004-07-06 [長年日記]
_ [Reading] 人間臨終図巻 / 山田風太郎
尾篭な話で恐縮だが、自宅にいて便所に行きたいというとき持っていく本がいくつかあって、その一つがこれである。さっきも持っていった。私が持っているのはソフトカバーの中判本だが、全巻文庫になっているようなので今回はそちらにリンクを張ってある。
中身はというと歴史上の有名人の「死に様」を死亡時の年齢順に列挙した事典風の読みものなのだが、取り上げられているのは今でも有名な人が主とは言え、もはや忘れられた人も多く、人選には筆者の好みが強く反映されていると思う。単に死の瞬間だけではなく、そこに至る過程(場合によっては当人の全人生)をも過不足無く書き込んでいるあたりが、山田風太郎の真骨頂と言えよう。
当初は一項目が短いから区切りの良いところまですぐ読めるというだけの理由で「便所本」になったのだが、すでに何十回も通して読んでいるのに相変わらず面白い。第一巻から第三巻まであって、どれも面白いのだが、中でも抜群なのは73歳以上で死んだ人の死にっぷりを描いた第三巻で、これはたまらない。これを読んでいると、そもそも人間は死ぬにも値しないのではないかとすら思えて来る。歳を取るのも楽ではない。
2004-07-08 [長年日記]
_ [tDiary] 毎度おなじみ流浪の日記
この日記を含むwww.mhatta.orgのコンテンツの置場にはアイネットディーのレンタルサーバ(Lightプラン)を借りていて、安い(10000円/年)わりに対応が良いので満足していたのだが、どうも最近(tDiaryを2.0.0に上げてから?)サーバにかかる負荷がえらいことになっているんだそうで、追い出されそうです(笑)。
ログを見ても別に攻撃されているようではないし、
アクセス数の問題ではなく1回の実行時間が非常に長いようです。そのためたまたま同時に2〜3アクセスが重なっただけでかなりの負荷になってしまいます。
とのこと。とりあえずプラグインを減らしてNoraとerbscanを入れてもらったがあまり変わらないようだ。
しかしどうしたものか。tDiaryに静的にHTML生成させるのってできるのかな。
2004-07-11 [長年日記]
_ [Music] Dolphy Sound / Eric Dolphy
昨日帰りがけに渋谷のタワーレコードに寄ったら、このCDが1460円で大量に売られていた。私が昔買ったときはもっと高かったし、実は2枚組なので、1枚あたり730円ということで大変というか死ぬほどお買い得である。わざわざAmazonにリンク張っておいてなんだが、聞いたことがないという人は今すぐタワレコ行ってお買いなさい。
1963年7月1日と3日の録音をまとめたもので、元はと言えばジミヘンのプロデューサとしても有名なアラン・ダグラスがプロデュースしたセッションなのだが、そもそもひと続きの録音なのに、なぜか半分はフレッド・マイルスの個人レーベルであるFred Milesから「Conversations」として、もう半分はダグラス自身の個人レーベルであるDouglas Internationalから「Iron Man」として発表された。その後原盤権はいろいろなところを点々とするのだが、基本的にConversationsの権利はVee Jay経由でRCA系列へ、Iron Manの権利はEpic経由でCBSソニー系列に流れていったので、同一セッション由来なのにいつまでたっても正式には集大成されないという妙な事態に陥っていたようである。その上、何度も何度も別個にタイトルやジャケットデザインを変えて再発され、海賊盤も世界各地から出現し、その度に曲名やクレジットが間違っていたという可哀想な作品なのだ。結果として一般的な知名度は、例えばブッカー・リトルとのFive Spotでのライヴ盤などに比べればかなり低いだろう。
ついでに言うと、このCDもいちおうIssued under license云々とは書いてはあるし、普通の販路に乗っているわけだが、権利関係はかなり怪しいのではないかと思う。Made In Portugalというあたりと、それなりに手の込んだジャケットデザイン etc. から見て、昔ズート・シムズやデクスター・ゴードンのこれまた甚だ素性の怪しいライヴ盤を出していたのと同じ連中が出しているんではないかと思うが、まあ後で述べる点を除けば全体的にはいい仕事だと思います。音質も悪くないし。
さて、肝心の内容はというと、一貫性こそないが絶句するほど素晴らしい。最高傑作と称されるブルーノートのOut To Lunchももちろんヤバいので、聞いたことがないお前ら(特に菊地成孔のファン)は当然可及的速やかに買うべきだが、どちらかというと「ぱっと聴き」にはこちらのほうが親しみやすいのではないか。全体にOut To Lunchと比べて曲調に明るさが漂っているし、アレンジも含め、ドルフィーの音楽がハードバップの「素直な」延長線上にあるというのが実によく分かる演奏なのである。それにしても、ベースとのデュオという珍しい形式で、バスクラリネットを淡々と吹くCome Sundayは映画のラストシーンか何かで使われたらまじ泣きそうな名演だ。ファッツ・ウォーラーの古い作品を取り上げたJitterbug Waltzも、なんのひねりもないのに明るいとも暗いとも言いがたい何とも言えない後味を残す傑作だと思う。
それはそうと余計なことを書いておくと、実はこのセッションには残りテープが存在すると言われている。Musesという完全未発表曲に加えてAlone Together、Iron Man、Mandrakeの各曲の別テイク、計4曲らしいのだが、まだいっぺんも表に出たことはない。
で、このCDにはContains Two Previously Unreleased BONUS TRACKSとかでかでかと書いてあるもので、いやがうえにも期待が高まるわけだが、当然「なんで2つしか入ってないんだ?」という疑念が湧く。しかも曲目がデータと違う。
種明かしをすると、まず2枚めの最後にBONUS TRACKと大書されているStormy WeatherはCandid盤Candid Dolphyに入っていたやつと同じである。どこがunreleasedなんだ? というかそもそも同一セッションじゃないですよ? だいたいベース弾いてるのはチャールズ・ミンガスだ。
このあたりでかなりブチ切れるわけだが、もう一曲の「BONUS TRACK」が分からんのですわ。Wherever I Goというタイトルがついていて、ドラムはどう考えてもチコ・ハミルトンだし、チェロがドルフィーのアルトとメロディをユニゾンで弾いてるし、明らかにドルフィーがチコ・ハミルトンのクインテットにいたころのスタジオ音源なのだが、私が知っている限りではこのグループはWherever I Goなんて曲は録音していないと思う。もちろん知らないだけかもしれないが、しかしこの音源の出どころはどこなんだろう。
それはともかく、少なくともFred Milesがらみの権利は現在では、ブルーズやジャズの新録で稼いでサン・ラーのSaturn音源をCD化しまくっていたあのキチガイ(誉めています)ジェリー・ゴードンのレーベルEvidenceが持っているはずなので、あそこからひょっこり出てくることを祈りたいものである。
_ 通りすがり [Wherever I Goですが、CHICO HAMILTON: Albums: GONGS EAST http:/..]
2004-07-13 [長年日記]
_ [Music] Kwanza / Archie Shepp
最近は、基本的に自宅自室か大学の研究室かに籠って一日中書き物をしているというヒッキー生活なので、BGMの選択が極めて重要になるわけです。で、今日は中古で買ったこの作品を一日中聞いていたのだが、これがまたやばかった。
日本ではシェップと言えばフリージャズ、ということになっていて、しかもフリージャズは定速ビートもなくただ絶叫してるだけの辛気くさいしろものとみなされているので、普通の人にはあっさり敬遠されそうだが、これはフリージャズじゃないのです。ファンクというか、R&Bというか、ソウルというか、そういうもろもろにフリージャズのフレーバを混ぜてシェイクした分類不能の音楽というのが最も正確な形容か。よって、フリージャズ・アレルギーがある方にもかなりお薦め。というか、本当はフリージャズとファンクは根っこは同じだと個人的には思っているのだが、その話はまた他の機会に。
まず1曲めが、曲名どおりバックバックと言っているように聞こえる変なメロディーのどファンクなのだが、なぜかバーナード・パーディがタイコを叩いているあたり、かなりおかしい。しかし猛烈にかっこいい。このダサかっこよさは格別だ。
続く2曲めでは最近亡くなったレオン・トーマスのハロホロヒレハレというヨーデルがやばい。どうでもいいがトーマスは勝新太郎の大ファンだったそうだ。それはともかく3曲めにいたってはシェップ当人がラララララーとか歌っている。多少シリアスな曲調で全体にアフリカ風味が濃厚。
しかし圧巻はなんといっても4曲めで、世界の崩壊をリアルタイムで記録しましたという感じがたまらん。出だしは真っ当なハードバップ風なのに、ドラマー含む全員のリズムが次第にずれまくっていく。必死に左手のオスティナートのパターンをキープして破綻を食い止めようとするシダー・ウォルトン(そもそも微妙に場違い)がけなげでかわいい。というかこいつらほぼ全員何らかの薬物を決めて演奏していたに違いない。リズムをキープするとか穏当にウォーキングするなんて気がハナからなさそうなウィルバー・ウェアのベースにしびれる。本物の天才か変態だ。
最後のBakaiはコルトレーンも取り上げたカル・マッセイの曲で、白人女性に話しかけたというだけで一晩リンチされて射殺され川に投げ込まれた黒人の男の子を悼む荘厳な曲なのだが、相当複雑な曲構造とコード進行を完全に咀嚼して律義に演奏していたコルトレーンと違い、テーマ以外はほとんど一発もののように解釈してひたすら吹きまくるシェップの割り切り方が素晴らしい。
_ いまい。 [あなたの書きっぷりも相変わらず素晴らしい。壊れてますね。]
2004-07-14 [長年日記]
_ [Reading] ヨーロッパ社会思想史 / 山脇直司
別の本を探して本棚をごそごそやっていたら、この本を見付けた。大昔、駒場にいたころに山脇先生の授業を受けたことがあって、これが絶望的につまらなかったのだが、今になってそのときの教科書であるこれを読み返してみると(なにせ200ページ弱しかないのですぐ読めてしまう)、なかなかよくできた本であることに気づいた。まあ、結局授業が終わった後からが本当の勉強ということなんでしょう。
内容的には、西洋で一時代を画した思想のさわりを時代で区切って簡潔にまとめたというだけの入門書だが、昔のえらい学者の思想をただ順番に陳列するのではなく(授業はそういうのだったと記憶しているが)、連中の考えが現在の私たちにとってどういう意味を持つのか、という問題意識で貫かれているのが良いと思う。とりあえず思想っぽい話で議論したいときの土台作りには最適か。
2004-07-17 [長年日記]
_ [Reading] 青山ブックセンター倒産
自己破産した上、全店閉鎖・撤収のようだ。出版業界紙の新文化のページに詳報と写真がある(7/16付)。朝日新聞にも記事が出た。
基本的に青山や六本木は私の行動範囲ではないので、店にはほとんど行ったことがない。よって、一部の人文系の人が抱くような思い入れは特にないのだけれど、六本木店は朝5時まで開いていたということもあって、たまに何かのライヴやイベントに行って終電を逃したりしたときは、ここで本を読んで始発まで時間をつぶしていた。アメリカに行く直前だからおそらく1997年ごろのことだと思うが、そういった深夜に緒川たまきと思しき人を見掛けてちょっとお得な気分になった覚えがある。まあ昔話です。
2004-07-19 [長年日記]
_ [Television] ガールズブラボー
「ガールズブラボー」が地上波でアニメになっているという話を聞いて、ポモもニューウェーヴも90年代より前も完全に過去のものとなったこのご時世にあえて「東京ガールズブラボー」ををアニメ化するとはなかなかいい根性だと、番組制作者のセンスと度胸にひとしきり感心したのだが、よくよく聞いて見ればGIRLSブラボーとかいう全然別の、そこらのもてないヲタクの妄想を抽出したような全くもってどうでもいいアニメだそうで、いたく失望する。期待しただけ落胆も大きい。
_ [Reading] 東京ガールズブラボー / 岡崎京子
そういえば、これ、いつのまにやら復刊されてたんですね。まあブックオフなりなんなりしかるべきところに行けば、どのみちそんなに入手は難しくないと思うが。
私はご多分に洩れず、まず最初にリバーズ・エッジを読んで参ったクチなので、それほどこの作品には思い入れはないのだが、優れた作品であることには違いがない。作品世界に流れている空気は今とはだいぶ違うけれども。
_ [Food] 柳麺工房 十里@大泉学園
私の記憶が確かならば、以前同じ場所には、昔秋葉原にも系列店があった味噌ラーメン「みそ膳」ののれんわけと思しき「まんなかや」というラーメン屋があったはずなのだが、たまたま今日前を通りかかったら違う店になっていた。埼玉が本拠のラーメンチェーンが、居抜きで店を買ったようだ。新装開店してから間がないせいか、接客のねえちゃんの手際の悪いことこの上ないが、まあそりゃいいです。
入ってメニューを見てみると、「みそ膳」同様に八丁味噌だの胡麻味噌だのとさまざまな種類の味噌ラーメンが用意されていて、系列が変わったとは言えあまり内容的には変化は見られない。きし麺のような太麺も頼めるようになったのが一番大きな変化か(ただし茹でるのに10分以上かかる)。
今日はあえて味噌ではなく塩ラーメンを太麺で頼んで見たのだが、スープや具は平凡とは言え、太麺自体はコシがあって大変よかった。これは味噌に合いそうだ。
定休日や開店時間を見てくるのを忘れた。あとで追記予定。
柳麺工房 十里
〒178-0063 東京都練馬区東大泉4-27-38
Tel 03-3924-7209
_ [Food] Mario Gelateria@大泉学園
「ゆめりあ」と聞くとモネーとしか言わない八重樫さんなどは甚だ度し難いが、それはともかく、私の家の近くにはゆめりあフェンテというあまり冴えないショッピングモールがあって、そこのテナントとしてマリオ・ジェラテリアというジェラート屋が入っている。なんでも以前テレビで取り上げられたとかで、ブルーソルトという青くて微妙にしょっぱい塩味のへんなジェラートばかりが有名になっているが、個人的にはやはり定番のピスタチオが良いと思う(ここのシャーベット系はどうも元の果物の味が強すぎて、あまり好みではない)。今日は7月限定のココナッツピーチというフレーバを食って見たが、ザク切りの桃が入っていてなかなかよかった。
それにしても、私が金を払ってジェラートを選び始めるまでは周囲に誰もいなかったのに、インチキ作務衣を着てサンダルを履き「純水」のボトルをぶらさげた多少容貌魁偉で恰幅の良い男が買っているのを見るや否や、どこからかおっさんどもがわらわらと湧いてきて並び始めるのはどうしたことか。ジェラートくらい、食いたければ黙って一人で買え。大統領は情けないダス。
Mario Gelateria 大泉学園店
〒178-0063 東京都練馬区東大泉5-43-1 ゆめりあフェンテ2F
Tel. 03-5933-1333
営業時間 10:00-21:00
定休日 無休(但し施設に準ずる)
2004-07-20 [長年日記]
_ [Life] お泊まり
諸般の事情(というかその多くは自分の怠惰)によりおうちに帰る余裕がないので、今日は生まれて初めて研究室にお泊まりです。微妙にわくわくしている自分が嫌だ。
私の席は窓に面しているのだが、なんか得体の知れない蟲がガラスにバチンバチンぶつかってすごい音を立てるのでそのたびに怯える。ヒッチコックの映画みたいです。あと、なんかソファに得体の知れないなまものが数名寝ているのですが、お前ら寝るんだったらとっとと家に帰りなさい。
_ [Music] Mr. Blues & Mr. Blues Plays Lady Soul / Hank Crawford
歌いまくるアルト・サックスの名人、ハンク・クロフォードがアトランティックに残した最高傑作2枚を1枚のCDに詰め込んだ超お買得盤。誰もいない部屋でこの時間帯(現在AM2時)にこの状況(明日朝一に必要なプロポーザルが全然出来てない)で聞いているせいかも知れませんが、もう泣けて泣けて仕方ないっす。何なんでしょうこのこぶし回しの良さは。
前半の「Mr. Blues」の聞き所は、なんといってもラストのThe Turferだ。ギターのへたれソロの後ろでウリウリウリウリとかぶる変なサックス・リフのかっこよさ!
とはいえ実は前半は割とどうでもよくて(クロフォードがなぜかピアノを弾いてる曲もあることだし)、本当にやばいのは後半の「Mr. Blues Plays Lady Soul」相当部分なのだ。ソウルのゴッドねえちゃんアリーサ・フランクリンが歌った名曲をミスター・ブルーズがカバーしているというだけですでにかなりいい気分なわけですが、豪華なバックバンドに支えられてもうサックスが歌いまくりでこれはたまらん。Never Let Me Goってこんなにいい曲だっけ?
ちなみに、めちゃくちゃヒットした曲というのはそれほど選ばれておらず、微妙に地味な選曲なのだが、そこがまた渋い。
2004-07-22 [長年日記]
_ [Debian] 健闘を祈る
大浦さんがxemacs21パッケージのメンテナになられたそうだ。日本人によるDebian貧乏くじ実権掌握が着々と進行しているというわけで欣快に堪えない。真面目な話、燃え尽きない程度にがんばってください。
2004-07-24 [長年日記]
_ [Music] The Soul Explosion / Illinois Jacquet
22日にイリノイ・ジャケーが心臓発作で亡くなったそうだ(ejazzNews.comの記事)。81歳なので大往生ではあるが、それでも残念である。今年は音楽的に尊敬する人が立て続けに亡くなっているので悲しくて仕方がない。
ジャズ史においてイリノイ・ジャケーがいかに偉大か、特に日本では油井正一という人のせいで全く理解されていない部分があるようだが、私のような最近になってジャズを聞き始めた人間にとっては変に日本風に歪曲されたジャズマン序列みたいなのはどうでもよいので、ジャケー先生は当然のようにジャズの偉人トップ10に入るのである。ロリンズも、ショーターも、もちろんコルトレーンも、およそ歴史に残るテナーサックス吹きは皆ジャケーの「フライング・ホーム」でのやばいソロを聞いてテナーサックスを手に取ったのだ。
例によって追悼ということで、今日はこれから(夜中であるにもかかわらず)馬鹿でかい音量でこのアルバムを聞くことにする。これはともかくアルバム・タイトル通りにソウルが爆発している凄まじい代物で、おそらくはジャケーの最高傑作だ。特に1曲目のタイトル曲などはシャッフル・ビート(ドラムスを叩いているのは実はアル・フォスターなのだが)に乗って御大がともかくブリブリと吹きまくり、さらにバックバンドとミルト・バックナーのオルガンが煽りまくって火に油を注ぐという、まあでもよくよく考えてみるとただそれだけで何のひねりもないシンプルな企画なのだが、ともかく聞けば必ず興奮する。お前らも聞きなさい。
_ [Food] 鶴亀製麺所@渋谷
普段は滅多に使わないのだが、今日はたまたま埼京線で渋谷に行ったので、新南口で降りてみた。出口エスカレータの目の前に讃岐うどんの看板を発見。小腹も減ったことだし、と試しに入ってみた。どうやらフランチャイズらしい。
私は本場四国に行ったことがないので、これを「讃岐」うどんと言ってよいのかどうか判断できないのだが、出汁も麺も大変うまかった。しかも温かいかけうどん(並)にちくわの天ぷら(これがまた予想外にうまかった)を足して294円という値段で、かつ私のような大食漢でも十分腹がくちくなったので、けだしお買い得と言えましょう。おすすめ。
鶴亀製麺所
東京都渋谷区渋谷3-28-8
営業時間 7:00-23:00
Tel 0120-87-0287
定休日 無休
_ TrackBack [http://peugeot405.org/shaolin/archives/000319.html 遏㊥悄險俶螳拷..]
2004-07-25 [長年日記]
_ [Sun Ra] サン・ラー伝 / ジョン・F・スウェッド著 湯浅恵子訳
ついに出たようだ。実はまだ買っていません。でも間もなく買います。お前らも買え。(ちょっと高いのですが‥)
原著者John F. Szwedの本業はイェールの人類学の教授で、一方でジャズの研究書やマイルズの伝記なども書いている人だが、サン・ラー番長としてもごく一部ながら世界的に有名である。原著Space Is the Place: The Lives and Times of Sun Raは前に読んだが、とても内容のしっかりした良い本だった。今回翻訳がどうなっているのかまだ見ていないのでコメントは避けるが、湯浅学さんが監修しているようなのでたぶん大丈夫でしょう。サン・ラではなくちゃんとサン・ラーになっているあたりが見識というものである。
なお、この本を読んで実際のサン・ラーの音楽に興味をお持ちになった方は、去年私が四谷「いーぐる」でやった講演のときに何枚か推薦盤を挙げたので、よかったら参考にしてください。
また、サン・ラー伝を読み、推薦盤を聞き、いよいよ病膏肓に入った気の毒な方は、Robert L. Campbell & Chris TrentのThe Earthly Recordings of Sun Raを手に入れて読み進めるのがよろしい。Amazon.co.jpでは品切れのようだが、ディスクユニオンに行けばまだ在庫があるんじゃないかと思います。こっちは伝記ではなく基本的にはディスコグラフィなのだが、録音やパフォーマンスにまつわる話もツクダニにするほど載っているのでおもしろいです。
2004-07-26 [長年日記]
_ [Reading] 現代思想の冒険 / 竹田青嗣
最近では、古本屋で仕入れた文庫本を、とうとう風呂の中で読むようになった(ちゃんとタオルを準備しておけば本は濡らさずに済む)。いよいよ人生お先真っ暗という感じだが、悪癖にも一つくらいは良いところがあるもので、一日一冊くらいのペースで、これまであまり積極的に読む気になれなかった思想だの哲学だのといった関係の本を読むようになったのはちょっとした収穫だと思う。これもそのうちの一冊。さっき読み終わりました。
素人にも大変わかりやすい、哲学(必ずしも「現代思想」に限らない)への入門書。デリダやドゥルーズ、ラカンやロラン・バルトといった大物は大概出てくる。単なる学説の羅列ではなく、そもそもいわゆる「現代思想」というのが何を語る(騙る?)ために登場したのかという問題意識で貫かれているので、話の筋が追いやすい。
以前、山形浩生さんがCUTの「知の欺瞞」の書評で、現代思想における自然科学の濫用や間抜けな言及は、比喩とか洒落とかファッションに過ぎないんだからとやかくいうな、という向きに対し、
でもそれならぼくがぜひとも読んでみたいのは、こうしたこけおどしの濫用科学用語やレトリックをすべて取り除いて翻訳した、各種「ポストモダン」思想家どもの文章だ。いったいそこには何が残っているのだろうか。あの葉っぱの散り落ちた枯れ野には、実は本当に美しい花がひっそりと咲いていたのかもしれない。できることならぼくはそれが見たい。でも、かなりの確率で不毛の荒野に出会うだけのような気がして、まだこわくて見ていない。
と書いていた。この本に(かなり批判的ではあるが)書いてある内容というのが、おそらくポストモダンの本当の「花」だったのだろう。ただ、それは結局のところヘーゲルからマルクスあたりで極点に達した近代思想の解体という文脈の中でしか輝かなかったということなのではないか。
まあ、年齢的にニューアカとか軽薄ポモとかの洗礼を受けていないので、しょせん他人事という感じも否めないのだが。
2004-07-27 [長年日記]
_ [jlc] 原稿依頼について
塩崎拓也さんが、jlcからの原稿依頼について「そういえばだいぶ前に依頼があったような気がするな。 あれを断ったのは、Linux うんぬんじゃなくて、 どっちかといえば時間的な問題と、あと依頼文にカチンときたからなんだけど。」とおっしゃっている。大変申し訳ないことである。
実際は、原稿依頼という前にそもそも原稿を書いていただけるか意志確認をしたかったので、私のほうから個人的に塩崎さんに連絡を差し上げた。私信とは言え大した内容ではないので公開する。もしよろしければ、後学のためにどのあたりがご機嫌を損ねたのか教えていただけるとありがたい。確かに、この段階ではjlcとしての正式な原稿依頼ではないのでインフォーマルな書き方(というかほんとに私からの単なる私信)ではあるが、別に礼は失していないつもりである。
あと、相変わらずお返事はお待ちしております。
To: AoiMoe at imou.to
Subject: コラム
From: Masayuki Hatta
Date: Fri, 10 Oct 2003 17:45:22 +0900
塩崎さん、
japan.*linux*.comなので微妙な気分かもしれませんが、現在準備されている
というGPL叩きのコラムをjapan.linux.comで書きませんか?
もし興味があればご返信ください。
--
八田 真行 (Masayuki Hatta)
というか、なんでもかんでも他人のせいにするのはやめませんか、塩崎さん。
2004-07-29 [長年日記]
_ [Music] 「歌舞伎町のミッドナイト・フットボール」発刊記念イベント
今晩は上掲の菊地成孔さんのトーク・ライヴ・サイン会に行くつもりなのだが、台風が来ているせいでまずい天気になりそうなので欝だ。一人なのですが、私の知り合い(だと自分で思う人)でおいでになる方います?
2004-07-31 [長年日記]
_ [Music] 菊地成孔トリオライヴダブ@池袋東武(7/29)
知り合いの宮尾さんとはすぐ落ち合えたのだが、雨の影響で本来は屋外ビアガーデンでやるはずが、2F屋内のアニメイト広場とかいう風通しの悪いスペース(アニメ専門店とは何の関係もない)に場所が変更になってしまっていた。大変な人出で、当然のことながら恐ろしいほどの蒸し暑さとなり閉口する。しかも演奏が始まるころには十分晴れていた。
ライヴは基本的には4曲、最初は菊地さんが控室に楽譜を忘れたのでフリーインプロから入り、楽譜が届いてからはYou Don't Know What Love IsとストレイホーンのIsfahanというスタンダードを2曲。とくに後者は、個人的に好きな曲ということもあるが素晴らしい出来だった。その後はヴォーカルで、このくそ暑い真夏のさかりにThe Christmas Songと「ラス・メイヤー、聞いてくれ」を演るという何とも言えない選曲。今さら菊地さんが歌うのを恥しがっているのが分かってそれだけでも十分おもしろかった。また、坪口昌恭さんのピアノの魅力を再認識する。たまにうちの近所のライヴハウスに津上研太とのデュオで出ているようなので今度聞きに行くことにしよう。
あとは天才アラーキーとのトークセッションだったが、おじさんはシャツ一枚で自著の宣伝もちゃっかりして強烈にチャーミングだった。あの菊地さんが押され気味なのがまたおもしろい。骨の髄までプロという感じでいいねえ。
サイン会も番号が最後の方だったのでずいぶん待ったが、それでも首尾よくサインをもらうことが出来、あとは宮尾さんや出くわしたいーぐるの常連の方とビアガーデンで一服。後藤雅洋さんや沼田順さんも見掛けたのだがはぐれてしまったのが残念。
Before...
_ yoosee [10a+b-(a+b)=9a だって事を予め知っていれば簡単なんですけどね > ネタ]
_ mhatta [yooseeさん、いや9の倍数になるのは最初から気づいてたんだけど、シンボルの一覧が毎回変わっていることに気づかなか..]
_ yoosee [なるほど、確かにその部分には引っかかりやすいですね。Flash をうまく使っていると言うか。 私はこれを見たのはずい..]