My Human Gets Me Blues

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2004-07-06

_ [Reading] 人間臨終図巻 / 山田風太郎

人間臨終図巻〈1〉 (徳間文庫)(山田 風太郎)

人間臨終図巻〈2〉 (徳間文庫)(山田 風太郎)

人間臨終図巻〈3〉 (徳間文庫)(山田 風太郎)

尾篭な話で恐縮だが、自宅にいて便所に行きたいというとき持っていく本がいくつかあって、その一つがこれである。さっきも持っていった。私が持っているのはソフトカバーの中判本だが、全巻文庫になっているようなので今回はそちらにリンクを張ってある。

中身はというと歴史上の有名人の「死に様」を死亡時の年齢順に列挙した事典風の読みものなのだが、取り上げられているのは今でも有名な人が主とは言え、もはや忘れられた人も多く、人選には筆者の好みが強く反映されていると思う。単に死の瞬間だけではなく、そこに至る過程(場合によっては当人の全人生)をも過不足無く書き込んでいるあたりが、山田風太郎の真骨頂と言えよう。

当初は一項目が短いから区切りの良いところまですぐ読めるというだけの理由で「便所本」になったのだが、すでに何十回も通して読んでいるのに相変わらず面白い。第一巻から第三巻まであって、どれも面白いのだが、中でも抜群なのは73歳以上で死んだ人の死にっぷりを描いた第三巻で、これはたまらない。これを読んでいると、そもそも人間は死ぬにも値しないのではないかとすら思えて来る。歳を取るのも楽ではない。


2005-07-06

_ [Music] Allen Houser and Washington Jazz Ensemble

トランペッター、アレン・ハウザー (Allen Houser, 1941-)がリーダー格のワシントン・ジャズ・アンサンブルを久しぶりに聞き直したらえらく良かったので、何か書こうと思った。この人に関しては、インターネットで検索してもほとんど情報が出てこない。レコーディングデビューとなったノー・サンバに所収の杉田宏樹氏のライナーによれば、ハウザーは1941年ワシントンD.C.の生まれ、昔も今も生地にずっと留まって活動を続けているようである。他人の(メジャーレーベルから出るような)アルバムに客演した、ということもどうやらなさそうで、以下に挙げる6枚の自主制作アルバムが、今までに出た作品の全てのようだ。

  • No Samba (Straight Ahead ARS001) 1973

  • Washington Jazz Ensemble (Straight Ahead ARS002) 1976 (発表は1978)

  • Whatever Happend To Allen Houser (Straight Ahead ARS003) 1990 未聴

  • Looking Back (Straight Ahead ARS004) 1970-86 (発表は1994)

  • The Allen Houser Sextet Live at the One Step Down (Straight Ahead ARS005) 1985 (発表は2001)

  • Stolen Moments (Straight Ahead ARS006) 2004 未聴

最初の二枚はボンバ・レコードから日本版CDが出ている。3作目は見たこともない。誰かお持ちなら貸してやってください。4作目は、彼が個人的に録音していた音源を寄せ集めたもので、一部音質は良くないが貴重。5作目も内容的にはそんなに悪くないが、これもいかんせん録音が悪く全体に音が痩せているのが残念。で、今調べてみて分かったがなんと去年新作が出ていたのですね。このへんで試聴してみたが、相変わらず直球ハードバップをやっているようだ。

この人は、自分で書いた英文ライナーとかを読むと分かるのだがとにかくライヴ命の人であって、おそらくそのあたりがまともなレコード会社と契約しないというポリシー(?)にもつながってくるのだろう。基本線はハードバップだが、姿勢は多少前向きで、という気概も見えて好ましい。作曲の才もそれなりにある(例えば2作目の冒頭、ギル・エヴァンスやルー・リードの作品に参加したことのあるサックス奏者、トレバー・ケーラーに捧げた1曲目は名曲)。あと何より魅力なのが、多少線は細いけれど勢いが良くかすかな翳りも感じられるトランペットの音色だ。技術的には超一流というわけではないと思うが、ドゥシュコ(ダスコ)・ゴイコビッチあたりが好きな人ははまると思う。