2011-04-23 [長年日記]
_ [Jazz] Improvised Meditations & Excursions / John Lewis
ジャズと言えばピアノ・トリオ、これが日本人の常識である。世界的に見ると全然そんなことはないのであるが、音楽教育の問題とか、住宅事情とか、まあいろいろあるんでしょう。私個人としては、正直言ってピアノ・トリオは地味で辛気くさいので聴くのも弾くのもそんなに好きではないのだが、夜中に一人でたまに聴くぶんにはなかなか良いものだ。
このジョン・ルイスのアルバムには、かつて「瞑想と逸脱の世界」という邦題が付けられていたと聞く。まあ直訳といえば直訳なんで仕方ないが、そういうタイトルから想像されるような高踏的な内容ではまるでない。はっきり言って、有名なThe John Lewis Pianoなんかよりずっとくつろいだ内容の、フツーのトリオものである。例によってルイスはちびちびと音符を節約して弾いていることが多いが、それでもさすがにトリオだと間が持たないのか思わず隠れたテクニシャンぶりを発揮する局面もあり(特にテーマ部の演奏)、じっくり腰を据えて聴いていると、次第に粘っこいタッチが気持ち良くなってくる。白眉は3曲目か。ジョージ・デュヴィヴィエのベースも相変わらず素晴らしい。
ちなみにこのCDには、問題のThe John Lewis Pianoから4曲、Grand Encounterから2曲、The Wonderful World Of Jazzから2曲と、同時期にルイスが残したピアノ・トリオかそれに準じたピアノ中心編成の曲がボーナス・トラックとして付いてくる。元となったアルバムもどれも優れた内容なので、これらを聴いて気に入ったらオリジナルに手を伸ばしてみるのも良いだろう。