2012-01-25 [長年日記]
_ [Jazz] Chelsea Bridge / Al Haig
アル・ヘイグといえばインビテーションと相場は決まっているが、他にも優れたアルバムはいくつもある。これは「インビテーション」の翌年に録音されたトリオもので、たぶんヘイグの作品の中では現在CDでは最も手に入りにくいものではないかと思う。ベースがジャミル・ナッサー、ドラムスはビリー・ヒギンズというなかなかの陣容だが、正直ヘイグはインタープレイが聞き所というタイプの演奏家ではないので、サイドメンは下手でなければ誰でも良いというところはある。もちろんヘイグのピアノは相変わらず快調だ。
ところで、ディスクユニオンの山本隆氏がこのアルバムの「マオコ」が素晴らしいと激賞しているのだが、実のところこれはウェイン・ショーターのMiyakoというジャズ・ワルツである。なぜミヤコがマオコになったのかは謎だが(たぶんヘイグ自身ちゃんと曲名を覚えていなかったのだろう)、ライナーノーツを書いた佐藤秀樹氏も気づいていないようなのが不思議。ショーター自身の演奏は1967年の名作Schizophreniaに収録されている。ヘイグはショーターの曲ではFootprintsもよく弾いていたが、ショーター作品特有のミステリアスでどこか得体の知れないところがヘイグの個性と相性抜群だった。ヘイグ・プレイズ・ショーターみたいな企画があれば、ものすごい傑作が生まれたかもしれない。