2007-02-02 [長年日記]
_ [Reading] フフフの歩 / 先崎学
とうとう郷田が名人挑戦者になったようだ。このまま行くと森内がすんなり18世名人になりそうで、それはそれでどうなんだという感じだが、まあしょうがないね。
それにしても、いわゆる羽生世代はタイトル挑戦は当り前、ほぼ全員名人になりそうな勢いというのがすごい。私が熱心に将棋を指していたのは10数年前の昔のことだが、話題になるメンツがそのころとほとんど変わっていないというのが、なんだかわけがわからない。
その中で、唯一立場が違っているのが先ちゃんこと先崎である。私などは、羽生世代の中では彼が最初にタイトルを取ると思っていた。それくらいに際立った才能だったのだ。それが10数年後の今、先崎は羽生世代で唯一タイトル挑戦歴が無く、そもそもトップのA級、いやその一つ下のB1級ですらない(段位もまだ八段だし)。羽生世代と言いつつ、実は昔の将棋指しの情緒を色濃くひきずってしまってドライになりきれないあたりが、先崎の限界なのかもしれない。そこが魅力でもあるのだが。
この本はエッセイストとしても有名な先崎の著作の中でも優れたものの一つで、今でもたまに読み返している。それほど文章がうまいというわけでもないのだが、書いていたのが棋士としても昇り調子のときだったということもあるのだろう、才気とみずみずしさがそこかしこに顔を覗かせていて読んでいて気持ちがよい。自分は勝負師と言いつつ若干の甘さも見えて、そのへんがトップに立てない原因なんだろうが、どうせなら本気で芹沢の後継者になってがんがんテレビなりネットなりに出て欲しいなあ。
_ [Music] オリコンチャートを読む
そもそもオリコンという会社に関心を持ったのが例の訴訟からだったりして、音楽チャートの中身については何も知らなかったのだが、そういう人間がデータの特徴をざっくり掴むにはとても良いページ。
なんとなく、最低でも数万枚は売れないとチャートインはしないんだろうなあと思っていたのですが(昔はそうだったと思うんだけど)、もうそんなこたないのですね。1月29日の週のシングルチャートだと、1週間に1万枚ちょい売ればトップ10に入れる。トップ100なら700枚(!)で悠々という感じだ。700枚ならちょっとした組織票でなんとか出来ちゃいそうだなあ。
シングルは終わったメディアだからだろ、という向きもあろうが、じゃあアルバムチャートならどうか。同じ週のアルバムチャートを見ると、2万枚で確実にトップ10入りという感じのようだ。トップ100のスレッショルドはここからはよく分からないが、62位で3000枚程度だから、100位だったらやっぱり数百枚じゃないかね。大してシングルと変わらん…。
知っている人にとっては当り前の話だろうが、CDの売行きの落ち込みは激しいねえ。
2007-02-19 [長年日記]
_ [Reading] R. Crumb's Heroes of Blues, Jazz & Country
アメリカの漫画家、ロバート・クラムの日本における知名度はほぼ皆無に等しいと思うが、ジャニス・ジョプリンのチープ・スリル(ジャニス・ジョプリン)のジャケットを描いた人と言えば、あああれかと思う人もいるだろう。私は未見だが、日本でも柳下毅一郎さんが編纂したロバート・クラムBEST―Robert Crumb’s troubles with women(ロバート・クラム/柳下 毅一郎/Robert Crumb)という作品集が出ているようだ。ちなみにアメリカン・スプレンダー [DVD](シャリ・スプリンガー・バーマン&ロバート・プルチーニ)で一山当てた負け犬漫画家ハーヴェイ・ピーカーが世に出るきっかけを作ったのはクラムである。クラム自身の半生に関してもクラム [DVD](ロバート・クラム/アリン・カミンスキー/ドン・ドナヒュー/デイヴィッド・リンチ/デヴィッド・ボーディンハウス)というドキュメンタリーが作られ、サンダンス映画祭で賞を得るなど評判になった。うかつに見るとトラウマになると思います。
ところで、前述の日本出版の作品集に関するAmazon.co.jpのコメントは、たぶん山形浩生さんが書いたんだと思うが、なかなか言い得て妙である。
爽快感、なんてほとんどない。自分や世間やその他すべてに対する、悪意にすらなりきれないわだかまりがとぐろをまく作品集。醜悪で、グロテスクで、自分のことばかりひたすらグチをたれるだけの、評価すべきところのまったくない名作の数々!
まあ確かにおっしゃるとおりで、クラムにはこういう自虐的で救いの無い作品が多い。絵のタッチも独特なので、生理的に受け付けない人も多いだろう。屈折しきった昏いユーモアこそがクラム最大の武器なのでしょうがないのだが、これだけだとなんだか気持ち悪いだけの変なオッサンのように思われるかもしれない。実際変なオッサンなのでどうしようもないのだが、一方でクラムには(そしてピーカーにも)世界的に名を知られた戦前のSPレコードのコレクターという音楽マニアとしての面がある。そういった方面の仕事はどれも比較的ストレートで、この手の音楽への愛情発露に、変なものの蒐集に取りつかれてしまった自分への自嘲が薬味のように効いてうまくバランスをとっているようだ。これなら誰にでも受け入れられるだろう。
最近出たこの本は、クラムがトレーディング・カード(!)用に80年代初頭に描いたブルーズやカントリー、初期のジャズなど戦前アメリカ音楽で活躍したミュージシャンたちの肖像画を、まとめて一冊の画集にしたものである。どれもよく知られた写真をベースにした絵で、そのミュージシャンに関する簡潔な解説も添えられている。おまけとしてYazooの豊富な音源を活かしてクラム自身が編纂した21曲入りCDまでついてくるので、この手の音楽のちょっとした入門にもなるのではないか。ちなみに絵にしろCDにしろクラムのマニア魂が大いに発揮されていて、まあメジャーな人もいるけど大体はおそろしくマニアックな人選です。
ちなみに、コールマン・ホーキンズの絵とされているものはどう見てもアート・テイタムの有名なポートレイトを元ネタにしていると思うのだが、どうしたんだろうなあ。勘違いかしらん。
もう一点印象に残ったのは、Printed In Chinaだったこと。こういう本も最近は中国で印刷するんだなあ。
2007-02-28 [長年日記]
_ [Hack] 朝鮮日報用のPlagger フィルタ
欲しかったので書いてみた。こんなんでええのかな。
chosunnilbo.yaml:
# http://japanese.chosun.com/
author: mhatta
custom_feed_handle: http://japanese\.chosun\.com/
custom_feed_follow_link: /site/data/html_dir/\d+.*?\.html
handle: http://japanese\.chosun\.com/site/data/html_dir/\d+.*?\.html
extract: <!!--titlestart-->(.*?)<!!--titleend-->.*?<!!--bodystart-->(.*?)<!!--bodyend-->
extract_capture: title body
otsuneさんがもっとましなのをcommitしてくれたらしい。
_ 通りすがり [つ http://guideline.livedoor.biz/archives/50826511.html]