2003-11-13 [長年日記]
_ [Life] 「少年深夜外出」に親への罰則規定、横浜市が提案へ
私は練馬に住んでいるのである意味どうでもいいのだが、東浩紀さんの日記で話題になっていたので読んでみた。ちなみに読売の個別記事にリンクを張りたかったのだが、原則禁止らしい。
単純に考えて、ただ夜出歩くだけで親に(罰金など)具体的なダメージを与えられる、という「武器」を反抗期真っ盛りのガキどもに与えるのは、かなり頭の悪い戦略だと思う。あるいは、出歩かせて罰金を払いたくないばっかりに、子供に手錠をつける親とか出てきたりして、それはそれは楽しいことになるでしょう。
と書いていたのだが、東さんに指摘されてしまったとおり、これは横浜市が都県条例に盛り込むよう提案している、という話なので、私が都内に住んでいてもひっかかるのだった。ううむ。
2003-11-15 [長年日記]
_ [Life] 「青少年夜間外出禁止令」の検討
この手の話に詳しくないので間抜けなことを書く可能性があるが、乗りかかった船だし自分の意見を一応書いてみる。批判歓迎。
今回の一連の話でよく分からないのは、こういった条例は本当に必要なのかということだ。といっても、こういう条例は倫理的にけしからんとか、そんな高尚な話ではない。取り締まる根拠はすでにあって、あとは運用の問題ではないか、ということ。
そもそも、喫煙、飲酒、深夜徘徊、不良交遊を行った「不良行為少年」は補導の対象とされているはずである。ゆえに、少年はただ深夜うろうろしているだけでも、補導の対象となる。単なる夜間外出が「非行」のうちに入るかどうかは議論の余地があるが、私としては、後述のような理由で「別に入れたっていいんじゃないの」という立場をとる。
さて、上記を踏まえると、深夜たむろして騒音を立てるなど他人に具体的な迷惑をかけているガキはなおさら、通報があり次第無条件で補導すればいいだけの話ではないだろうか。となると、重要なのは実効性のある「補導」とはどんなものか、という話になると思うが、結局それは程度の問題ではないかと私は思う。すなわち、単なる夜間外出ならば口頭での注意(これは今でも職務質問としてやっているはずだ)程度が適当だろうし、単に注意するだけでは解散しなかったり、あるいは迷惑行為を繰り返す悪質な者に関しては、それこそ親を厳重注意して罰金、いよいよ悪質(あるいは親が養育責任を放棄)なものは児童相談所に通知、家裁で審判、保護処分で場合によっては少年院送致、というふうに罰則の強度をどんどん高めて行けばよいのではないだろうか。あるいは、保護処分の選択肢の一つとして一定期間街頭での社会奉仕活動を強制というのも非行少年へのインセンティヴ・デザインとしては面白いかもしれない。ようするに、非行と言っても他者への危害という観点から見てマイルドなものからひどいものまであるのだから、その悪質性に即して補導の内容を変えればいいと言うのが私の意見だ。
いずれにせよ、件の条例と違うのは、あくまで具体的な非行行為とその重大性を基準にして処罰するようにしていくべきではないのか、ということだ。そのための人手や予算が足りない、どうしたらよいか、というようなことこそ政治家や行政(というか本来は有権者)が考えるべきことであって、このような条例を制定したところで小手先のパフォーマンスに過ぎないような気がする。だいたい、変なサイドエフェクトは容易に予想されるわりに、東さんのところにコメントしていた気の毒な人が直面したような焦眉の具体的な問題の解決に役に立つとは思えないのである。
_ [Food] Boulangerie bee
家への帰り道に最近出来た、こじんまりかつこじゃれたパン屋。中ではこじゃれたシェフ(というのかどうか知らん)がパンを焼いている。当り前か。
ブーランジェリーというのはフランス系なのか、焼きあがるまでに6時間かかると称するフランスパンとかクロワッサンとか、その手のが多い。チーズも置いている。ブリオッシュの類も豊富。
こじゃれているので私のようなものには入りにくいタイプの店なのだが、買い物のついでに勇気を出して入ってみる。いくつか買ってみたが、フランスパンは確かにうまい。それに小ぶりなので、もてあましてカビのえさになるということもなさそうだ。アーモンドをまぶしたクロワッサン(名前はこじゃれていたので忘れた)とか、菓子パン系もよい。私は気に入ったのだが、なんか客がいませんよ?
ブーランジェリー・べー
10:00-20:00 (日曜は19:00)
東京都練馬区東大泉3-16-32
Tel 03-5387-3522
2003-11-16 それはラクダに違いない [長年日記]
_ [OpenSource] ロージナ茶会
今週ロージナ茶会というのに行って話をすることになった。白田秀彰先生とは去年CPSR/Japanか何かの会合でお会いしたきりだったと思うが、クリエイティヴ・コモンズだの著作権の問題だのに関していろいろお話が伺えればうれしく思う。
しかし国立行くのは久しぶりだなあ。とある事情で割と頻繁に通っていた時期があるのだが、23:15の電車に乗れないと家に帰れないとか結局いつもバーミヤンで飯とかいろいろせつない場所だった。というか終電逃したら泊めてくれ > 公文(笑)
_ [Life] 日記とコメント
東浩紀さんの日記はここ数日コメント欄が大いに荒らされていて、どうなるかなと思っていたのだが、結局はてなにアカウントがある人のみが書き込めるように設定を変えたようだ。賢明な判断だと思う。しかし、私が言うのもなんだが、野放しにされていい気になっている奴が多すぎる。少なくとも他人を批判するときは、実名でやるべきだと私は思う。
私の日記に関しても、コメント欄を止めろという意見(?)が出ていた。まあ、確かに本当に言いたいことがあれば直接メールを送ってくれればよいわけだし、前にも書いたがtDiaryのツッコミ機能はあまり込み入った議論には向いていないし、止めてしまおうかと思ったこともあるのだが、とりあえず当面は残しておく。
というのは、やはり読者との距離をあまり作りたくないからだ。読者から遠ざかれば遠ざかるほど、私の言うことが空理空論に近づいていくような気がする。今のところ私はかなりオープンソースの「現場」に近いところにいる(と思う)ので、細かいところはまあ、いろいろおかしいところがあると思うが、オープンソース・ハッカーの実感から丸っきり乖離したことは書いていないという自信がある。しかし、そのうち現場から遠ざかれば、おそらく間抜けなことを書き始めるに違いない。そのための安全弁として、読者からの批判(もちろん的外れなものから鋭い指摘まであってよい)は有効に機能すると私は信ずる。まあ、プロの書き手から見れば青臭い考えだと思うが、ある意味「趣味」なので、多少こだわってもよいでしょう。
ついでに言うと、久しぶりにアクセスログを見てみたのだが、いわゆる「荒らし」に近いコメントをする人は実はどうやら一人しかいないらしいことに気づいて拍子抜けする。わざわざハンドルネーム(と最近言うかどうかは知らないが)をいちいち変えて書き込んでくださっているようだ。
人生一回きりなのだし、私みたいな若造に粘着してもしょうがないと思うのですが...。これは嫌味でもなんでもなくて、本音です。前にも書いたのだけれど、自分の意見を自分のページで展開したほうが楽しいですよ。
_ [OpenSource] oris死亡
www.opensource.jpをやらせていたorisというマシンがお亡くなりに成ったので、OSDやGPLの訳は現在参照できません。数日で復旧できるはずなので、それまではGoogleのキャッシュなりInternet Archiveなりを参照してください。
_ [Sun Ra] Super-Sonic Jazz / Sun Ra and his Arkestra
日本ではSun Raを「サン・ラ」と発音・表記することが多いが、このアルバムのライナーを読むと「The name RA is prounounced RAH.」とはっきり書いてあるので、どうも御大自身は「サン・ラー」と言って欲しかったようだ。というようなトリビアはさておき、これはごく初期の音源で、1956年の2月から10月にかけて行われた4回の録音の内容をまとめたもの。サン・ラーの創造力はこの時期最初のピークに達したようで、Angels and Demons at PlayやWe Travel the Spaceways、Sun Songなど優れた作品をいくつも残しているが、当然この作品も「1956年もの」の一枚として聞き逃せない内容を誇る。ミディアムテンポの渋いブルーズや現代音楽の影響を顕著に感じさせる曲から、ビバップの方法論をサン・ラーなりに消化した「普通のジャズ」っぽい演奏に至るまで、アルバムを通じた統一感が全くないあたり、実にすがすがしい。その中では名曲El is a Sound Of Joyの初演が聞けるのが興味深いか。おすすめ。
2003-11-21 [長年日記]
2003-11-22 [長年日記]
_ [Music] Schizopherenia / Wayne Shorter
スキツォフリーニア、と読むんでしょうか。「Schizo-」というのは「分裂」を意味する接頭詞で、ようするに精神「分裂」病(最近の用語だと統合失調症だけど)のことだが、そういうややこしいタイトルがついた Shorter の1967年 Blue Note 作品。ジャケでもちゃんと Shorter が「分裂」しています。
一時期はまってほぼ毎日聞いていた。いまだに Shorter というとこいつを持ち出して聞くことが多い(もちろん今も聞いている)。まず冒頭を飾るジャズ・ロック風の Tom Thumb がたまらん。8ビートという当時流行のフォーマットを借りてそれなりに熱っぽい演奏を繰り広げつつ、独特の醒めた第三者的視線を感じるあたりが いかにも Shorter という感じだ。流行ものに手を出しても、そこらへんの奴がやるのとはやはりひと味違う。あとの曲も素晴らしいものばかりで、三管編成を生かした Shorter の作曲とアレンジの才が冴え渡って聞きごたえ十分。サイドメン(特に Herbie Hancock)も好調だ。LP にしてもちょっと短い(36分強)なのが不満と言えば不満だが、まあつまらないものをだらだらやられるよりはましでしょう。
ところで、この人は他人のところに出かけていって場をさらってしまうのが天才的にうまくて、Art Blakey や Miles Davis のバンドのように自分が音楽監督をやっていたところもさることながら、Weather Report のような「ソロイスト」扱いや Joni Mitchell との共演のような単なる歌伴でも、Shorter がちょっと吹くだけで全体の色合いが微妙に変わってしまう。それでいて変に浮き上がらないし、枠組自体は全く崩さないというあたりがこの人の不思議なところだ。いかにも「分裂」的というか。
ちなみに一応CD化されているのだが、普通は限定盤の Connoisseur シリーズ(ちなみにカノッサ、と読みます)なのにまだ Amazon.co.jp で手に入るらしい。よほど売れてないんか? もちろん絶対のおすすめである。ちなみに、いっぺん聞いただけでは良さが分からないかもしれないので、つまんねーと思っても何度か聞いてみることを勧める。
2003-11-23 昨日は事実、今日は存在、明日は希望 [長年日記]
_ [Sun Ra] Cosmo Sun Connection / Sun Ra and the Arkestra
常に古代エジプトと土星と宇宙と未来への希望を語りつづけた(というのは結局のところ現世への絶望の裏返しだと私は思う)サン・ラーだが、実人生ではものの見事なまでにその日暮らしであって、その一証拠がこれだ。現在ではロック/アヴァンギャルド界の重鎮となったクリス・カトラー率いるイギリスのRecommendedレーベルは、80年代にSaturnの旧作音源をヨーロッパで活発にディストリビュートしていたが、そこにLPとして引き渡す約束で金を前払いしてもらったのに、結局LPをプレスする費用がなくなってマスターテープごと渡した、というのがこの音源である。1984年のいつかにおそらくアメリカでライヴ録音された、ということ以外詳細不明。
一曲目は定番だが、ここでのバージョンはなんとも悦楽度が高いというか、はっきり言って不健康なまでに多幸感に満ちた演奏である。もともとそういう曲想なのだが、特にこれはやばい。後半、わけのわからないコーラスとサン・ラーのスペイシーな(としか形容しようがない)シンセが絡んでくると事態はほとんど新興宗教の水域に達する。
あとの曲はまあ、この時期ありがちなアーケストラのライヴ定食であって、特筆するほどのものでもないが、サン・ラーのピアノをフィーチュアしたブルーズあり、例によって騒音発生に命をかけるマーシャル・アレンのアルトあり、シンセおたくとしてのサン・ラーが味わえるノイジーなトラックあり、しかもそれでいて全部で30分ちょいで終わってしまうという潔さといい、実に素晴らしい。誉めてるんだかけなしてるんだか分からないでしょうが比較的誉めています。
なお、このCDの売上はRecommended(今はReRの方が通りが良さそうだ)に行かず、直接アーケストラに入るそうなので、まあお布施だと思って買うのが功徳というものでしょう。南無。
2003-11-28 [長年日記]
_ [Sun Ra] A Quiet Place In The Universe / Sun Ra & His Arkestra
All Music Guideのジャズ関係のレビューはほとんどScott Yanowという評論家が書いているのだが、見たところ日本のジャズ雑誌のようにどんなクズでも誉めるというわけではないし、かといって個人的な嗜好に極端に偏るということもなく、それなりに客観的な態度を保っていて、そこそこ信頼がおけるように思われる。そのYanowをして「おおかたゴミ(largely a waste)」「やめとけ(so skip this one)」とまで言わしめ、輝かしくも1つ星を獲得(ちなみに満点は5つ星です)したのがこの作品である。1つ星なんて滅多に見掛けないので、ある意味勲章と言えよう。
元々後半だけ別のCDに入っていたのだが、1994年、例によってサン・ラー馬鹿にとって愛憎半ばする味方であるLeo Recordsがノーカット完全版を出してくださった。ありがたや。ちなみにジャケはなかなかかっこいい。
録音年代は、All Music Guideでは1976年としているがおそらく1977年初頭が正しい。水面下で出回っている1977年4月29日、ペンシルヴァニア大での音源とメンツがよく似ているからだ。
1曲目は私が知る限りこのライヴでしか演奏していない珍しいバラードで、作曲家としてのサン・ラーがモンクやミンガス、あるいはエリントンといった系譜に直接つながる存在であることを証明する、奇妙で美しい演奏である。このメロディーなどはカバーに耐えうる強度を持っていると思うのだが、誰かやらないものか。
たぶんYanowはこいつを聞いてイヤになったんだろうが、Friendly Galaxy No. 2という曲に乗せてほぼ19分間、サン・ラーが説教するというのが2曲目で、まあこいつは飛ばしたほうがいい。一応どんなものか言葉で説明すると、村祭りのお囃子(フルートがいかにもそれくさい)に乗ってマイク近づけ過ぎの酔っ払いが数名大いに語るというようなもので、聞くだけ人生の無駄である。生で見れば楽しいんだろうが。
あとはフレンチホルン(ヴィンセント・チャンシー)とサン・ラーのデュオあり、普段はバリトンに専念しているパット・パトリックがアルトでしみじみとスタンダードを吹くトラックあり、定番のLove in Outer Spaceあり(ただし打楽器をフィーチャー)という感じで、まさに玉石混淆だが、最後にまた定番のSpace is the placeが来る。これが凄い。なぜか良く分からないがものすごいノリで、シャッフルに近いリズムに乗ってアーケストラ全員が疾走する。
おおこれはすげえ、と喜ぶのもつかのま、3分くらい経つと音が突然揺れて、フェードアウト、おしまい。テープトラブルなんだろうが、そりゃないだろうよおい。
ということで、さすがに「おおかたゴミ」とまでは言わないが、1曲目と6曲目を聞くために2000円払う気合いがある人間にのみお薦めする。まあ、この2曲で十分お釣りが来ると思うが。
_ Rizo [<a href=http://smart--sex.com>http://smart--sex.com</a>]
_ Daniil [<a href=http://q--sex.com>http://q--sex.com</a> <a href=ht..]