2012-01-06 [長年日記]
_ [Jazz] The Most Happy Piano - The 1956 Studio Sessions / Erroll Garner
エロール・ガーナ―というと、ほぼ自動的にConcert By The Seaが口端に上るが、あれは内容的には死ぬほど素晴らしいものの、いかんせん音質がよろしくない。このCD2枚組は、翌年にガーナ―がトリオで録音したほぼ全ての録音を集大成したもので、サイドメンこそ違うがガーナ―自身の演奏水準はConcert By The Seaに匹敵するし、スタジオ録音なのでもちろん音質的にも何ら問題ない。オリジナルのLP4枚、「The Most Happy Piano」「He's Here! He's Gone! He's Garner!」「Garner Encores in Hi-fi」「The One And Only Erroll Garner」はおそらくどれもCD化されていないし、オムニバス盤などに分散収録されたものも集めているので、そういう意味でも貴重なコンピレーションと言える。さらに、若干2枚目のCDの時間が余ったと見えて、50年代初頭のトリオ演奏がおまけとして7曲追加されているが、これらもそれなりに珍しい音源である。
個人的には、CD2の5曲目にMy Lonely Heartが収録されているのがとてもうれしい。これは「Jazz Omnibus」というその名の通りのオムニバス盤に1曲だけぽつんと収められたもので(他はサッチモやエリントンなどの演奏)、入手がとても難しかったのである。どちらかと言えば素朴なメロディを若干フェイクしながら淡々と弾いているだけなのだが、ロマンチックな時のガーナ―の最良の部分が全て出た名演だと思う。
行きがかり上なんだかけなすような感じになってしまったが、Conceret By The Seaも仮にもピアノを弾くものなら必ずなにがしかのインパクトを受けるはずのものすごい演奏であることは間違いないので、機会があればぜひどうぞ。