2006-05-15
_ [Music] The Rolling Stones Project / Tim Ries
ロックの曲をジャズがカバー、という企画は佃煮にするほどあって、その大半が安易なゴミクズなのだが、これはちょっと格が違った。恐れ入りました。
ストーンズのツアー・サポートもやっているサックス奏者のティム・リーズが、実にいろんな人に声をかけて実現させた企画のようだが、曲が良いのは言うまでもなく、人選といいアレンジといい、演奏そのものといい、非の打ち所がない。なにせジョン・スコフィールドがいる、先日の東京公演も素晴らしかったビル・フリーゼルやブライアン・ブレイドがいる、でおまけにヴォーカル陣にはシェリル・クロウ、ルチアーナ・ソウザ、そしてノラ・ジョーンズまで揃えている。ラリー・ゴールディングズがバリバリとオルガンを弾く背後で、お世辞にもうまいとは言えないが往年のブルーノートのオルガンものに入っていたようなドラマー風のいなたいノリを出しているのはチャーリー・ワッツ本人だ。最近重傷を負った(らしい)キースも2曲で実に当人らしいギターを弾いている。ぜいたくの極み。
なお、日本盤だけAs Tears Go Byが入っていて、しかもそれがまたなかなかの出来。でもベスト・トラックはノラ・ジョーンズが歌うWild Horsesだと思う。これはおすすめ。
2010-05-15
_ [Jazz] Very Alive At Ronnie Scotts / The Buddy Rich Band
1971年の12月6日から8日の間、ロンドンのクラブ「ロニー・スコッツ」に出演したバディ・リッチのビッグバンドの模様を録音した音源はいろいろな形で世に出ているが、この2枚組CDもその一つ。Moment's Noticeから始まる曲順で、全16曲(うちリッチのアナウンスが3回)という中身である。個人的にはこれが一番しっくりくる。聞けば休日も朝から最高潮です。
ちなみに数年前に出た日本盤(リッチ・イン・ロンドン)は1枚もので全9曲(うちリッチのアナウンスは最後の1回だけ)、Moment's Notice、Watson's Walk、Milestones、Superstar、In A Mellow Toneとリッチのアナウンス残り2回の計7曲が未収録だった。同じく数年前にMosaic Singlesから出たやつ(Rich in London)もやはり1枚ものだったがこちらは全13曲、Superstarとリッチのアナウンス2回が削られていた。そしてこれらの一枚ものはDancing Menから始まるのだが、まあ私の勝手な思い込みかも知れないが、曲調というか雰囲気的にも、これはファーストセット=ディスク1の締めくくりにふさわしいような気がする(というか、実際のライヴでもおそらくそうだったんじゃないかと思うんだが…)。なぜかどちらからも削られているSuperstarもなかなかカッコイイアレンジだし、リッチの皮肉の効いたジョークはほとんどスタンダップ・コメディアンの域に達しているので、完全版を聞く価値はあると思う。