My Human Gets Me Blues

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2009-05-16

_ [Shogi] 瀬川C2入り、影の将棋順位戦再び

将棋の子 (講談社文庫)(大崎 善生)

将棋の瀬川晶司四段がフリークラスを脱出してC2に上がったんだそうだ。おめでとうございます。私のようなプレッシャーに弱い人間から見れば、これは尋常でない快挙である。昇級を決める一戦の相手が、ほとんどプロになり損ねたが奇跡的な幸運の連続で昇段した、ある意味で瀬川のネガ(ポジ?)のような中座真七段だったというのも、なんだか作ったような因縁で面白い。中座は中座でさぞやりにくかっただろうが。

さて、ご本人もブログで「この先昇級していくのは今回よりもっともっと大変でしょう」とお書きになっているが、実際瀬川四段が今後どこまで行けそうか少し考えてみた。裏を返せば、ようするに瀬川さんの実力というのが棋界全体のどのへんに位置するのか、ということである。現在の順位戦は上がりにくく落ちにくいというイビツなシステムになっていて、現実の所属クラスがある時点での棋士の実力をちゃんと反映しているものとは言い難いので、去年チェス風のレーティングで実力本位に順位戦のクラスを決めるとどうなるかというのをやってみたのだが、それを現在のデータでやり直すと以下の通りになる。かっこ内は、実際に所属するクラス。

名人

羽生。

相変わらず羽生つええなあ。

A級(定員10人)

木村、佐藤康、久保(B1)、渡辺(B1)、森内、深浦(B1)、阿久津(B2)、郷田、松尾(B1)、丸山。

去年はリアルA級とレーティングで出したA級がそれなりに一致していたのだが、今はそうでもないみたい。

B1(定員13人)

鈴木、橋本(B2)、山崎、宮田(C1)、谷川(A)、三浦(A)、阿部、糸谷(C2)、豊島(C2)、藤井(A)、高橋(A)、飯島(C1)、広瀬(C1)。

去年は事実A級にいるのにレーティングだといきなりB2に落ちてしまった藤井が、今度は実力でもB1に昇級している! がんばれ! (レーティングの)A級は目前だ!

B2(定員不定、今年度は24人)

佐藤和(C2)、佐藤天(C2)、中川、村山(C1)、先崎、森下、戸辺(C1)、堀口一(B1)、行方(B1)、井上(A)、西尾(C2)、田村(C1)、佐々木(C1)、畠山鎮(B1)、稲葉(C2)、小林裕(C1)、片上(C1)、佐藤紳(C2)、安用寺、豊川(B1)、杉本(B1)、高崎(C2)、中座(C2)、村中(C2)。

例によってここが一番レーティングとリアルの乖離が激しい。やっぱ井上はA級でやっていくにはちと苦しいということなんでしょうな。

で、C1もC2も人数が多いので前回と同じく割愛するが、レーティングでは瀬川は三十何人かいるC1のやや上のほう(14位)に来る。また、今年に入ってから破った相手は伊藤能、橋本、中座、宮田で、フリクラの伊藤を除けば全員リアルはともかくレーティングではB1ないしB2に所属する連中。特にA級を窺うくらいの力があるハッシーが一番の難敵だったはずで、ここがキーだったようだ。

ということで、頑張ればそのうちC1には上がれるんじゃないの?ものすごく頑張れば(あと運が良ければ)B2くらいまでは行けるんじゃないの?というのが私の予想。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ めひかり [いーぐるの掲示板では色々ありがとうございました。 レーティングの計算方法を詳しくは分かりませんが、これだけ作成する..]

_ 八田真行 [めひかりさん、こちらこそ、いろいろコメントいただきありがとうございました。返事が遅くなってすみません。 私もレーテ..]


2010-05-16

_ [Jazz] Guitars / McCoy Tyner

ギターズ(DVD付)(マッコイ・タイナー/ロン・カーター/ジャック・デジョネット/マッコイ・タイナー・トリオ)

ずいぶん前に誰かに勧められ、へえと思って買ったのだが、忙しくてそのままになっていたのを今ごろになって聞いてみた。

80年代以降のマッコイ・タイナーはそれなりに良い作品もあるのだが(スイートベイジルでのライヴとかテラークに残したラテンものとか)、大方はかつての圧倒的な演奏の影法師という感は否めず、ライヴにしてもこりゃスゲェと恐れ入る演奏がある一方で通して聞くとどうしても一本調子というか必ずダレるところがあり(特にバラード)、今ひとつぱっとしないというのが正直なところだった。おまけに近年は糖尿病なのか単にダイエットしただけなのか知らないがえらく痩せてしまって、年齢も年齢だしパワーが身上の人としてはもう終わったかな、という感じが漂っていたのである。

この新作は、マッコイ、ロン・カーター、ジャック・デジョネットという人生の晩秋トリオにとっかえひっかえ5人のギタリストを合わせてみましたという企画で、ギタリストの人選もまあ普通と言えるのはジョン・スコフィールドくらい、あとはビル・フリゼル、マーク・リボ―というアヴァンギャルド寄りの人と、ベラ・フレック、デレク・トラックスというルーツ・ミュージック寄りの人を連れてきている。どの人もマッコイとは毛色も世代も違うが、ジャズをよく理解していて柔軟性抜群という点では共通するものがあり、御大にうまく合わせながらも「聞いていると途中で飽きる」というマッコイ・ミュージックの難点をうまくカバーしていると思った。個人的にはベラ・フレックとの共演が、バンジョーの音色のおもしろさもあって一番楽しめた。

マッコイのピアノに絞って言えば、目立った衰えはないにせよもう古希なのは確かなわけで、力強さという点ではかつてに及ぶべくもない。タッチもずいぶん柔らかくなったなあという印象。ただ、どちらかと言えばそれは良い方向に働いていると思う。何せ昔は前進あるのみでしたんで…。また、付録のDVDで、5人との録音風景を映像でも楽しむことができるのはうれしいおまけ。