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2012-01-13 [長年日記]

_ [Jazz] Legends Of Acid Jazz / Billy Butler

Legends of Acid Jazz(Billy Butler)

ビリー・バトラーはスタジオ・ミュージシャンとしても長年活躍した職人肌の名ギタリストだが、これは彼がプレスティッジ・レーベルに残した4枚のLPのうちの2枚、1968年録音の「This Is Billy Butler!」と、1970年録音の「Night Life」をカップリングした徳用CD。プレスティッジのこのへんの作品は、昔アシッド・ジャズなるものが流行った際に「Legends Of Acid Jazz」という統一タイトルの下でまとめてCD化されたのだが、アシッド=LSD=サイケというイメージから来たのであろうど派手なジャケットとは裏腹に、中身はどちらかと言えば渋めのソウル・ジャズです。

純ジャズからR&B、ソウル方面までありとあらゆるセッティングで活躍したバトラーだけに、良く言えばバラエティに富んだ、悪く言えばやや焦点がぼけ気味の、しかしどれも超ハイクオリティな演奏が楽しめる。そもそもこの人はギターがやたらうまいのだが、加えて飛び道具的小技も豊富で、ベース・ギターとかいうもの(どうやらエレベとは違うらしい)を使ってみたり、ピチカートでつまびく独特の奏法(当人は「ヴァイオリン奏法」と呼んでいたらしい)を繰り出してみたり、あるいはどうやら弦の上でスティール・ギター風に指を滑らせていると思しきやはり独特の奏法を駆使してビュンビュンミュンミュン言わせてみたり、やりたい放題である。特に最後のは、バラード曲やボサノヴァものでなかなかの雰囲気を醸し出しているが、まあノベルティですな。

とはいえ、個人的にはやはり、1曲目や5曲目のようなやや遅めのテンポのブーガルーで生み出される、ゆったりとしたグルーヴが気持ちよい。ヒューストン・パースンもいつもながらの好演で、びしっと場を引き締めている。これが1曲目です。