2012-01-09 [長年日記]
_ [Jazz] Snowflakes / Various Artists
ジャケ写のせいというわけでもないのだが、冬になるとこの2枚組アルバムが聴きたくなる。ドイツのMPSレーベルに残された「ムード・ミュージック」のコンピ。ムード音楽といってもいわゆるムード歌謡ではなくて、ラウンジとかイージーリスニングとか、そういうふうに呼ばれることが多い音楽である。エレベーターの中とか、病院の待合室とか、そういうシチュエーションでいかにもかかっていそうな、聞いていて全くストレスのない音楽だ。
この手のものはジャズが主食の人間には大方バカにされる運命にあるのだが、フリーキーにサックスでがなるだけが人間能ではない。フランシー・ボーランらヨーロッパのアレンジャーたちに加え、ネルソン・リドルやクラウス・オガーマン、ロバート・ファーノン、あるいはジョージ・デュークといった、アメリカのその筋の一流どころが手がけたアレンジは、やりすぎとすら言えるほどの音楽的技巧と洗練の極致を示していて、何と言うか、額に青筋立てて波風立てない音楽をやるというような、妙な倒錯までここには感じられるのだった。例えばこんな奴です。
まあ、そうは言っても結構退屈な、本当にエレベーター・ミュージックとしか言いようがないものもいくつか入ってはいるのだが、どうせBGMにするならこれくらいのレベルのものがいいですね。数曲はオリジナル盤がCDなどで再発されているが、事実上ここでしか入手できない音源(例えば冒頭のシンガーズ・アンリミテッドのジングルなんかはたぶんそう)もあるので、そういう意味でも貴重。