2004-01-09
_ [Music] gascd / V.A.
gascdというのは「Governments Accountable to Society & Citizens = Democracy」の略で、社会と市民に説明責任のある政府こそが民主主義の根本、というようなことを啓蒙している団体(?)のようだ。ウェブサイトもある。
このCDはそこが資金集め用に出しているものなので、団体が主張する反グローバリズムだのFTA反対だのに全く関心がない人間としては微妙な気分なのだが、人選(オル・ダラやセックス・モブも参加、全員ロハでやっているようだ)といい、あらゆる音楽スタイルを網羅した中身といい、おそろしく水準が高い。なんといっても、ビル・フリーゼルがトリでマーヴィン・ゲイのWhat's Goin' Onをカバーしている! しかもほとんど原型をとどめてない!
それにしても、いーぐるの忘年会でかけたサン・ラーのトリビュートしかり、最近はコンピものに当たりが多いのだが、これは喜ぶべきことなのかしらん。あと、日本のサヨクも少しは気合いを入れてこれくらいかっこいい活動をしてほしいな。プロテストというのは、昔はまず第一にかっこいいものだったはずなのだから。
2007-01-09
_ [Reading] ミステリー&エンターテインメント700 / 河田陸村、藤井鞠子編
海外の推理小説やアクション、サスペンス、ファンタジー、ホラーといったいわゆるエンタテイメント系の本(の邦訳)は足が早く、評判になって数年後にはもう絶版、版元品切れということが多い。そんなときに便利なのがAmazonのユーズドだが、こちらはこちらで立ち読みで当たりを付けられないという致命的な欠点がある。実績のある人でもハズレはハズレだ。
私は多読乱読がモットーで、ハズレを引くのも楽しみのうちだとは思っているが、どうしたって可処分時間は限られているのだし、あまりハズレばかりは引きたくない。そんなわけで良質なガイドブックが必要なのだが、推理小説だけならコアな客が付いているせいかそれなりに良いものがあるものの、それ以外のエンタテインメント全般まで範囲を広げるとぱっとすぐに思い付くものが無い。私が個人的に好きなのは、そういった剰余のほうなのだけれど。
というわけで、海外のその手の本に関しては、このところずっとこれを使っている。採点の俎上に乗ったのは、選者11人による合議で選ばれた作家99人の、1995年までに訳が出た全作品ということなので、その年の新刊が対象のこのミステリーがすごい!2007年版などとは違って、基本的にはクラシックというか過去の名作が対象だ。また、ミステリ専業の作家は意図的に省いたらしい。結果として、キングやクーンツといったモダン・ホラー系やグリシャムのような法廷もの、フォーサイスやクランシーのようなサスペンスものといった王道エンタメ、トマス・ハリスやプーヅォ、レヴィンといった映画原作、ル・カレのような最近はほぼ絶滅してしまったスパイもの、はたまたブラウンやブラッドベリといったSF(?)や果てはウンベルト・エーコに至るまで、およそ娯楽読みものと名が付きそうなものは大体カバーしたごった煮となっている。裏を返せばSFなりホラーなりといった個々への突っ込みは、そうした個別ジャンルのハードコアなファンからすればごく薄くて物足りないのかもしれないが、私のようなあまり濃くないファンにとっては十分無名な人も多く取り上げられている。最近読んだ夢果つる街 (角川文庫)(トレヴェニアン/北村 太郎)なんて、知っている人は知っているんだろうけれど、ここで挙げられていなければ今さら手を出さなかったですねえ。
あと、個人的に気に入っているのは「やたら点が辛い」ということだ。★の数(1つから5つまで)で評価がついているのだが、★★★★★のさらに上、☆☆☆☆☆を取った「ぜひ読んでほしい超名作」は本当に数少ない。ちゃんと数えていないがおそらく数十もない。もちろん難癖をつけて強引に評価を落としている、というわけではなくて、ちゃんと読んだことがある人ならば、まあ言われてみればそうかな、と納得できるものばかりだ。例えば御多分に洩れず私もスティーブン・キングが好きだが、あのキングにしても☆☆☆☆☆は二作品にしか与えられていない。どれかはまあ、大体分かりますよね。ちなみにIT〈1〉 (文春文庫)(スティーヴン キング/Stephen King/小尾 芙佐)は★★★★★である。クーンツやグリシャムに至っては最高で★★★★★どまり。手厳しい…。
まあ問題は、このガイドブック自体がすでに絶版、ということですかね。良い本なんだけどなあ。
2008-01-09
_ [Bicycle] 自転車道建設、国が本腰 全国100カ所
単に「自転車道」と言われると、いわゆるサイクリングロードというか大規模自転車道のほうを思い浮かべてしまうのだが、今回中心になっているのは車道や歩道に自転車レーンを作るという話のようだ。
よく言われることだが、自転車は法律上は(軽)車両なので、基本的に歩道ではなく車道を通行しなければならない。ただ現実問題として交通量の多い車道を走っているとクルマの人に嫌がられることが多いので、どうしても歩道を走ってしまいがちなのだが、これが歩行者、自転車の両方にとってとても危ないのは言うまでもない。車両と違い軽車両は路側帯を走るという手もあるのだが、実際に都内を走り回ると分かるけれど大体の路側帯はあまり状態が良くないので、車道よりむしろ危なかったりする(あと、路側帯だの車道外側線だの路肩だのと法律上の扱いがややこしい)。となるとじゃあどこを走れっちゅうねんという話になる。特に郊外から都心への自転車通学/通勤をやりたい人間として何とかしてほしいところだったので、今回の動きはとてもうれしい。ただ、調子こいてリカンベントとかベロモービル乗りが増えると、自転車道でスピード出しまくる奴が増えてかえって危なくなるかもしれないが…(笑)
もちろん道路を整備する以上、飲酒運転とか無灯火とか携帯かけながら乗ってるバカとかはクルマ同様がんがん取り締まれば良いんじゃないですかね。
2012-01-09
_ [Jazz] Snowflakes / Various Artists
ジャケ写のせいというわけでもないのだが、冬になるとこの2枚組アルバムが聴きたくなる。ドイツのMPSレーベルに残された「ムード・ミュージック」のコンピ。ムード音楽といってもいわゆるムード歌謡ではなくて、ラウンジとかイージーリスニングとか、そういうふうに呼ばれることが多い音楽である。エレベーターの中とか、病院の待合室とか、そういうシチュエーションでいかにもかかっていそうな、聞いていて全くストレスのない音楽だ。
この手のものはジャズが主食の人間には大方バカにされる運命にあるのだが、フリーキーにサックスでがなるだけが人間能ではない。フランシー・ボーランらヨーロッパのアレンジャーたちに加え、ネルソン・リドルやクラウス・オガーマン、ロバート・ファーノン、あるいはジョージ・デュークといった、アメリカのその筋の一流どころが手がけたアレンジは、やりすぎとすら言えるほどの音楽的技巧と洗練の極致を示していて、何と言うか、額に青筋立てて波風立てない音楽をやるというような、妙な倒錯までここには感じられるのだった。例えばこんな奴です。
まあ、そうは言っても結構退屈な、本当にエレベーター・ミュージックとしか言いようがないものもいくつか入ってはいるのだが、どうせBGMにするならこれくらいのレベルのものがいいですね。数曲はオリジナル盤がCDなどで再発されているが、事実上ここでしか入手できない音源(例えば冒頭のシンガーズ・アンリミテッドのジングルなんかはたぶんそう)もあるので、そういう意味でも貴重。