2015|08|
2011-09-28 [長年日記]
_ [Jazz] Private City / John Surman
ジョン・サーマンと言えばゴリゴリバリバリとバリトン・サックスをフリーに激しく吹き倒す人という印象が強く、また個人的にもどちらかと言えばそういったタイプの演奏に強く惹かれてしまうのだが、彼のディスコグラフィを振り返ると、どちらかと言えば抑制の利いた作品が多いことに気づく。たぶん、本質的にはサーマンは「静かな」ミュージシャンなのだろうと思う。その手のものの極致として、ECMレーベルに数枚あるソロ・プロジェクトが挙げられよう。
ソロといっても、主楽器のバリトンだけを一人で吹いているわけではない。バリトン以外にソプラノ・サックスやバス・クラリネット等も吹いて多重録音し、それをシンセサイザーで作った自作のバックトラックにかぶせるという凝った作りになっている。曲も全て自作だ。
まあ、今の耳で聞くとシンセの音がいかにも80年代的にチープだし、宅録にありがちな自閉感みたいなものもあって好みが分かれるところだと思うが、それなりに曲ごとに違った表情もあり、通して聞いても意外と聞き飽きしない。私自身、この手のものには最近までほとんど全く興味がなかったのだが、歳を食ったせいかこのところ好んで聞いている。元々バレエの伴奏音楽として用意されたもののようだが、確かに優雅な舞いが目に浮かぶようだ。