2011-05-07 [長年日記]
_ [Jazz] スーパーサックスのキャピトル盤3枚
チャーリー・パーカーの神がかったアドリブを譜面に起こし、サックス5管+ブラスでそのままなぞって超高速でハモるというスーパーサックスは、あんなもんジャズじゃねえという人も昔はいたのかもしれないが(実際ジャズというより発想はプログレとかに近いような気がしないでもないが)、私は大好きだ。単純に聞いていて気持ちが良い。主要人物二人が喧嘩してメンツが変わったり、パーカーが演じた曲以外も取り上げるようになったり、しまいにはなぜかヴォーカル・グループが入ったりで、変遷を重ねつつそれなりに長いスパンで活動したグループだが、やはり最初期のCapitol盤3枚が、時期と人選という点で一番ハマっていたと思う。70年代フュージョンの技術至上主義とバップ・リヴァイバル的ノスタルジーを掛け合わせ、それを当時はスタジオ・ミュージシャンをやっていた往年の白人ジャズメンが演るというバランスの妙、ということなんですかねえ。
などとえらそうに言いつつ、私にしても最近まで聞いたことがあったのはデビュー作のSupersax Plays Birdだけだったのだが(3枚の内ではこれしかCD化されていなかったと思う。しかも20年くらい廃盤)、最近になって3枚とも999円とかでCD化された。もちろん大喜びして聞いている。どれもおすすめ。
この手のものは、パーカー・フリークであれば、やはり連中が基にしたアドリブがパーカーのいつどこでの演奏かを当てたいということになると思うが、まあ実のところそんなに難しくないんだけど、例えば一枚目と二枚目のSalt Peanutsは主にパーカーのスタジオ録音でのソロが基になっているのが、三枚目の Supersax Plays Bird With Stringsになるとさすがにネタが尽きたらしく、パーカーの放送録音まで手を出しているなあとか、どうでもいいところで感慨深いのである。しかし、私なんかはパーカーのオリジナル演奏がある程度頭に残っているからおもしろがっているわけだが、パーカーを全く聞いたことがない人がいきなりこれを聞くと、どう思うんだろう。ちなみにこの三枚目にはタイトル通り分厚いストリングスが入っている曲もあり、今のところ最も気に入っているアルバムだ。