2010-05-21 [長年日記]
_ [Jazz] Tiptoe Tapdance / Hank Jones
ミュージシャンの私生活にはあまり興味無いのだが(パーカーやマイルスといった、無視するにはあまりにも面白すぎる人生を送った人たちは除く)、ハンク・ジョーンズが亡くなって、生前の彼が普段どのような生活を送っていたのかが明らかになった。
ニューヨーク・タイムズの記事によると、近年のハンクは12フィート(4m弱)四方の小部屋を借りて独居していたそうだが、自室に閉じこもりがちで三食とも階下のダイナーから出前、昼夜を問わずヤマハの電子ピアノで練習していたらしい。もちろん隣人の邪魔をしないよう、ヘッドホン着用で。
グラミーも獲得し、あれだけの世界的名声を得た人にしてはえらい質素で求道的な生活のようにも見えるが、ようするに私生活のようなものはほとんどなかったのだろう。ステージに上がってピアノを弾くことが、彼の全てだったに違いない。91歳まで現役を続けられたのはその精進あればこそだろうし、また最期まで現役を続けたからこそ、ここまでの長命を保つことが出来たというところもあるのではないか。
ハンクは自室では主にクラシックを弾いていたようだが、たまにはジャズを弾くこともあっただろう。おそらくその際のソロ・ピアノは、この1978年録音のアルバムで聞けるようなものだったのではないかと思う。どうしようもなく地味だが上品な佳作で、特にアルバムを締めくくるLord, I Want To Be A Christian(讃美歌第二編173番)の美しさは筆舌に尽くしがたい。なんというか、祈りのようなものが込められているような気もする。