2010-05-09 [長年日記]
_ [Jazz] Live / Stanley Cowell
60年代から70年代にかけてスタンリー・カウエルが残した作品はどれも好きでよく聞くのだが、80年代以降のカウエルというのは実はあまり聞いたことがなかったので、試しにこれを買ってみた。1993年、デンマーク・コペンハーゲンでのトリオによるライヴで、ベースとドラムスは当時のレギュラー・メンバーらしい。
カウエルはバップ曲や古いスタンダードをストレートに演らせてもなかなかうまいのだが、やはりこの人は自作自演が最も魅力的な人で、このCDでも聴き応えがあるのは彼の定番オリジナル曲である2曲目や3曲目、そして5曲目だ。特に5曲目は、オスティナートに導かれて途中からぐいぐい盛り上がるドラマチックな展開が素晴らしい。その後の「スイングしなけりゃ意味がない」~「枯葉」~「イン・ウォークト・バド」というベタな選曲も、名アレンジャーとして鳴らしたカウエルらしいひとひねりある編曲が施されているので、手垢にまみれたという感じはあまりしない。特にエリントン曲は、びっくりするくらい都会的(?)なかっこいいアレンジで驚かされる。こういう手があったか、というような。
やや物足りないとすれば、相変わらず高度なテクニックを駆使したシャープな演奏ではあるものの、若いころの演奏からは常に立ち上っていたヒリヒリするような何かがあまり感じられないということだが、まあこれはないものねだりかもしれない。個人的には十分楽しめました。