2008-08-14 [長年日記]
_ [Music] Shirley Scott & The Soul Saxes
シャーリー・スコットというと淡白でさわやかなオルガンというイメージしか無いが(結局のところピアニストが本業だし)、ここではソウルなサックスの皆さんとしてキング・カーティス、デヴィッド・ファットヘッド・ニューマン、ハンク・クロフォードという重量級3人を迎え、大変に濃厚で暑苦しい音楽を展開している。
このアルバムで良いのはジャケットと演奏と選曲と編曲で、まあ言い換えれば全部良いということなのだが、特に際立って良いのは当時モンゴ・サンタマリアのアレンジャーを務めていたマーティ・シェラーの編曲だ。ビートルズ曲や『スタンド・バイ・ミー』のカバーなど、なまじ原曲が有名なだけに、下手なアレンジではすぐ古びてしまって現在では聞くに耐えないということもままあるのだが、全曲当時のヒット曲のカバーであるにも関わらず今聞いても全く捨て曲がないというのはある意味驚異的とも言える。分厚いホーンズのリフも最高だが、ギターにエリック・ゲイル、ピアノにリチャード・ティー、ベースにチャック・レイニーあるいはジェリー・ジェモット、そしてドラムスにはバーナード・パーディ(とジミー・ジョンソンとかいう知らない人が数曲)という、この時期最強のリズムセクションも相変わらず冴えている。
で、じゃあリーダーのシャーリー・スコットのオルガンはどうなの、ということになるのだが、まあ、彼女にしては頑張ってるんじゃないでしょうか…。