2007-01-05 [長年日記]
_ [Music] In Atlantic City / Wild Bill Davis & Johnny Hodges
私はジョニー・ホッジズのミーハーなファンだ。ホッジズが吹いてさえいればムードミュージックみたいなのまで手に入れて聞いている(別にコンプリート蒐集とかはしていませんけど)。今どき私の歳でホッジズのファンというのは我ながらどうかしているような気もするが、でもこの人のアルトの音色には生理的なレベルで抗いがたい魅力があると思う。さすが、チャーリー・パーカーが「アルトのリリー・ポンス」と呼んで尊んだだけのことはある。
このアルバムは1966年の夏、ニュージャージー州アトランティック・シティでレギュラーの仕事を持っていたオルガンのワイルド・ビル・デイヴィスのバンドに、たまたまエリントン楽団で巡業に来ていたホッジズ(とトロンボーンのローレンス・ブラウン)が参加したジャムをライヴ録音したものだ。テナーやギターもいるので全編ホッジズ吹きまくりというわけではないが、一音吹けばやはりホッジズ御大(当時すでに還暦)の存在感は他を圧している。特に入念な打ち合わせをしたというわけでもないのだろうが、ホッジズとワイルド・ビルは60年代たびたび共演を重ねた旧知の仲、お互いの手のうちを知りつくした素晴らしい調和ぶりだ。
この手の自然発生的なジャム・セッションの録音は締まりの無いものになりがちだが、てらいが無いのにきちんとアルバム一枚持たせるのは、この人たちに本物のオリジナリティが宿っているからだろう。見事なまでになんのひねりも仕掛けもないのだが、ぼんやり聞いているだけで気持ちが良い。ということで、事実今日もぼんやり夜中に聞いて、ええなあ、とつぶやいているのであります。