My Human Gets Me Blues

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2006-11-18

_ [Music] Movies / Holger Czukay

Movies(Holger Czukay)

ドイツのロック・グループ、CANのメンバだったホルガー・シューカイの最高傑作。これも廃盤のようで、Amazon.co.jpではふざけた値段がついている。困ったものだ。

フリーカルチャーがどうしただのクリエイティヴ・コモンズがこうしただのという話になるとすぐ思い出すのが、このアルバムの2曲めに入っているPersian Loveである。イランかトルコか知らないが、どこかそのへんからの短波放送で流れていた歌をシューカイがエアチェックして、それに他の出所が怪しい音源もミックスしいろいろ手を加えたものらしい(もちろんただ継ぎはぎしただけじゃなく、シューカイ独自の音も加えてある)。サンプリングというかリミックスというかサウンド・コラージュというか。もしかすると著作権の権利処理もドイツ風にすごい厳密にやったのかもしれませんが、まあおそらくはいろいろまずいでしょう。しかし、そういったもろもろが全くつまらなく思えるくらい、この曲にはシューカイのオリジナリティが刻印されていて素晴らしい。シューカイが今の日本に住んでいたらこの名曲は生まれなかったに違いない。ちなみに個人的には1曲めCool in the Poolのすっとぼけて醒めたエロい味が好きです。

というような話は割にどうでもいいのだが、CC-JPがワールドブログというのを始めたらしい。本家CCやiCommonsのブログ(の抜粋)の日本語訳だってさ。OTPのジャーナルにも書いたが、このところCC関係の日本語の情報源が少なかったので大変喜ばしい。ちゃんと続くといいな。

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]

_ koichi [ 米国のアマゾンで48ドルくらいの値段で5枚ほど出ているので、注文が来たら、それを買ってから送ろうと思っているに違い..]

_ mhatta [あはは、そういう転売ビジネスは成立しそうですね。名前の読みに関して言えば、私もシューカイなのかチューカイなのかいまだ..]


2007-11-18

_ [Music] Don't Give Up On Me / Solomon Burke

ドント・ギヴ・アップ・オン・ミー(ソロモン・バーク)

仕事しながら久しぶりに聞いたら、不意を突かれてなんだか泣けてきたので紹介する気になった。時間帯が良かったのかもしれない。

ソロモン・バークという人がどれだけ破天荒かは、文中でほぼ主人公と言って良い存在感をまき散らすピーター・ギュラルニックの名著スウィート・ソウル・ミュージック―リズム・アンド・ブルースと南部の自由への夢(ピーター ギュラルニック/新井 崇嗣)を読めば分かると思う。なんというか、ひと口に説明しにくいのだ。サン・ラーもそうだが、私は訳の分からない、ひと口で説明しにくい人が好きなので、当然バークも大好きである。

それにしても、1曲目を提供したのはダン・ペン、2曲目と6曲目はヴァン・モリソン、3曲目はトム・ウェイツ、4曲目はジョー・ヘンリー、5曲目はブライアン・ウィルソン(!)、7曲目はエルヴィス・コステロ、8曲目はボブ・ディラン(!)、そして9曲目はニック・ロウ、しかも単なる連中のヒット曲のカバーというわけではなく、全て書き下ろしの新曲ないし未発表曲をもらってきたというのは、改めて書き出してみると壮観としか言いようがない(最後を飾る11曲目の作者は全く無名の人だが、おそらくバークが変名で書いたのだろう。渋くてとても良い曲)。と言ってもこの手のプロジェクトは幕の内弁当的な無個性の「話題作」程度で終わることも多いわけだが、全体にキング・ソロモンのカリスマが十分浸み渡っているというか、この人が歌う以上、曲やバックがどうあれ結局バークの歌にしかなりようがないので、全体を支配する空気にはおそろしく統一感がある。足が悪いのか(そりゃあれだけ太ればねえ…)もう立って歌うことはできないようだが、「脳天に一撃喰らわせる」としか表現しようがない迫力のある声はまだまだ健在だ。ちなみにギターを弾いているのはダニエル・ラノワ、サックスはベニー・ウォレスとこれも豪華。

普段の華やかな活動よりははるかに渋めの落ち着いた雰囲気なので、そのへんで昔ながらのキング・ソロモン・ファンにはそっぽを向かれたのかもしれないが、これは超が付く傑作だと思う。じわじわと盛り上がって良くなっていくのだな。

というか、もう御託はどうでもいいのでとりあえず10曲目だけでも聞け。これが感動のがぶり寄りなの。ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマとの共演。