2004-05-06
_ [Music] Elvin is still with us
Elvin Jonesが心臓をやられて瀕死だという話があって、今朝に至ってはもう死んだという噂も流れていたのでたまげていたのだが、ようやくこの件に関してJazzTimesに記事が出た。まだ酸素ボンベが欠かせないようだが、瀕死というほどひどい状況ではなく快復しつつあるとのことである。よかったよかった。
_ [Music] Swiss Movement / Les McCann & Eddie Harris
世評では超有名な血管ぶち切れ熱狂ライヴ、ということになっているが、今の耳で聞くと案外落ち着いているような気がせんでもない。特に一曲目以外はかなり渋い曲が多いような気がする。
で、さっきからその問題の一曲目Compared To Whatばかり聞いているのだが、大意は分かるのだけれどどうも歌詞の細かい意味がはっきりしない。Wikiにわかったところまで書いておいたので英語に詳しい方教えてやってください。だいたいタイトルからしてうまく訳せないのが情けない。
しかし、現時点ではいいかげんな推測が多いのだが、それでもこの歌詞の内容は現在の状況と比較してみるとなかなか味わい深い。ありがちといえばありがちな皮肉だが、結局のところ私たちはあんまり1970年から進歩してないのかもしれませんねえ。あるいはようやくシンプルでかっこいい1970年に戻って来たといことなのかもしれないが。
2006-05-06
2007-05-06
_ [Obit] エンタツ、ダイラケ、ノック、やすし
ずいぶん昔の話だが、何かのテレビ番組で中田ダイマル・ラケットの漫才を見たことがある。糖尿病かなにかで痩せこけた最晩年のダイマルとラケットが、ひたすらじゃんけんを続けるというネタだった。
小林信彦のような芸に厳しい人に言わせれば、全盛期には遠く及ばないという評価になるのだろうが(天才伝説 横山やすしでは、「ダイマル・ラケットのテレビでの晩年の漫才は、正直にいって、正視できないものであった」と述べている)、繰り出されるイカサマの圧倒的なくだらなさ、怪しい身振り手振り、しつこい反復と絶妙な息の合い方、生まれてこのかたあんなに笑ったことはない。最後の輝きだったのだろうか。言っても信じてくれないだろうからYouTubeにでも映像が無いかなと思ったが、あいにく誰もアップロードしていないようだ。全ては語り口とタイミングの問題に過ぎない、というのは、私がその時のダイラケの漫才から学んだことである。
なんで急に思い出したかというと、横山ノックが死んだからだ。ノックと言えば弟子に横山やすしがいて、やすしはダイラケを崇拝していた。
酒席で晩年のダイラケの漫才をテレビで見ていたノックが、つい「さすがにダイ・ラケ先生も衰えたなあ」と口を滑らせてしまい、それを咎めたやすしが「このハゲ! ダイ・ラケ先生の悪口を言う奴は許さんぞ。ボケ!」とさんざ罵った挙句、ひとりだけ先に帰ってしまったと言う逸話がある。芸事の世界では絶対的な存在であるはずの師匠をつかまえて、ハゲボケ呼ばわりしたやすしも相当なものだが、それでも破門しなかったノックもただ者ではない。
ノックといえば不祥事への対応を間違えて寂しい晩年を送ることになってしまったが、一時は大阪府知事にまで上り詰めた人だ。漫画トリオの他2人をドライに切捨て政治家に転身したノックと、相方きよしに去られたショックからついに立ち直れずにほとんど自殺に等しいような死に方をしたやすしとは、世間的な成功という意味でも一個人としての冷徹さという点でも雲泥の差だが、漫才へのスタンス、もっと言えば漫才というものに対するオブセッションという面では案外近しいところがあったのではないか。
以下も小林の日本の喜劇人に載っていた話で、ちょっと長いが好きな部分なので引用しよう。やはり最晩年の横山エンタツ・花菱アチャコに砂川捨丸を交えてテレビで鼎談させるという、今からすれば相当贅沢なつくりのテレビ番組があり、小林が構成を担当した。エンタツ・アチャコは吉本の商策もあって喧嘩別れのような形で解散して久しく、漫才の再現は無理と思われていたのだが…
私は、二人がスタジオで顔を合わせて「石田(エンタツの本名)」「藤木(アチャコの本名)」と呼び合っていたときから、日常の会話が片っぱしからギャグになってしまうのに呆然としていた。日本語の会話はギャグにならないなどというのは嘘である。まわりにいる本職の漫才師が笑い転げるほど、おかしい。レコードなどでうかがうべくもないタイミングの妙、間、はずし方−−それは、おそらく、もっとも洗練された日本語の会話であった。
漫才が始まると、からだの不自由なエンタツのひたいを、アチャコが叩く。少しも、いたいたしい感じがしない。
横山ノックが狂的な目つきで私に言った。
<あれでこそ、わたしたちの先輩なんです!>
笑いの渦がおさまると、東京のディレクターの声がきこえた。
「リハーサルはこれくらいで…」
「ぼくらの漫才は、リハーサルしたら、あかんのや!」
アチャコが吐き出すように呟いた。
やすしの葬式の弔辞で、ノックは「僕が死んだ時は一緒にネタ合わせして漫才をやろう」と述べたと言う。リップサービスだったのかもしれないが、若干の本音も混じっていたような気がする。やすしはツッコミ的な要素も持ち合わせていたとはいえ、基本は2人ともボケだ。今頃どういう漫才をやっているのか、ちょっと興味がある。
2009-05-06
_ [Music] The Bright Mississippi / Allen Toussaint
アラン・トゥーサンの新作。最初一通り聞いたときは今ひとつピンと来なかったのだが、何度か聞くうちになじんできた。トゥーサンのピアノは相変わらず素晴らしい。アラン・トゥーサンとドクター・ジョンはプロフェッサー・ロングヘア直系というか、ピアニストとしての表現の質が良く似ている。ジェームズ・ブッカーには鋭角的な切れ味はあるが彼らのような明るさはないし、ヘンリー・バトラーは何でも出来る人だが(あるいは何でも出来るがゆえに)ちょっと肌合いが違う。そういう意味で、彼らにはピアニストとしての後継者はいないのかもしれない(現地ニューオリンズにはいるのかもしれないが)。私はどちらかと言えばトゥーサンたちのほうが好きだ。
長めのレビューはcom-postに書いた。
_ [Music] com-post on Wassr
Wassrにもcom_postアカウントを作って更新通知を流すようにした。Wassrのアカウント名はハイフン入りでも良いみたいだが、Twitterのアカウントに合わせてcom_postにしてある。
2011-05-06
_ [Gadget] ラップトップを持ち歩くためのカジュアル鞄その2
前回の続き。
さて革鞄のほうだが、まあ、そもそも革鞄にラップトップ入れんのかよという疑問は確かにある。革は鞄そのものが重くなりがちだし、強度的にも不安だし、手入れや雨対策も面倒だし。しかし、革ならではの雰囲気には、容易に抗いがたいものがありますなあ。
で、革鞄に関してはいくつか個人的な条件があり、それに応じていくつか候補が挙がっては消えた。まず、ちょっと両手を空けたいということは良くあるので、さすがに3wayとは言わないものの、肩にかけられるショルダーストラップは欲しいというのが一点目の条件。次に、まあ基本はカジュアルということなので、トートバッグでも何ら問題ないのだが、スーツの時も使いたいということもあり、できればブリーフケース・タイプが好ましいというのが二つ目。あと、確かにブリーフケースならエッティンガーやグレンロイヤル、トートならコーチのハリソンとか、ダニエル&ボブのやつとか、海外ブランドでそんなに高くはなくて良いものがあるのは重々承知しているけれども、どう考えてもこの手のものの海外のはぼったくりもといオーバープライス気味なことが多いので(単純にブツとしての質からすれば、デザインを考慮しても大体国産の同等品の1.5倍から2倍くらいの値付けだと思う)、出来るだけ日本のブランドのものを買う、というのが三つ目。
最初は、このところ世評が高いM+(エムピウ)の鞄TENERAを買おうと思っていたのだが、ショルダーストラップがつけられないので外れ。M+では他にARMATURAというショルダーストラップ付きの大型トートもあるのだが、これは私の需要からするとサイズが微妙に小さく、U30JCの寸法のラップトップは収納スリーブケースに入れると収まらないのでダメ。国立商店の職人が作るオイルドレザーブリーフも、あらかじめラップトップの収納を考慮した作りが大変魅力的だったのだが、これまたショルダーベルトが無い(最近ショルダーバッグ・タイプのものも出たけれど…)。
どうしたものかと思っていたところ、ひょんなことからボーデッサンのカーペンター(ガーデン)バッグ、OV4086の存在を思い出した。バッファローレザーで作られたショルダーストラップ付き巨大トートである。サイズを確認すると13.3インチPCくらいは軽く入りそうなので、思い切って買ってしまいました(実際ちゃんと入った)。ちなみにOV4087というのもあって、こちらはデザインは同じだが4086より一回り小さい。値段も若干安いが、4087だと13.3インチのラップトップは入らないと思う。Amazonで扱っている店があるのは4087のみ。私はたまたま所用で銀座に行くことがあり、銀座ベルビア館のボーデッサン直営店で買ってしまった。
ボーデッサンはどうでもいい個人的事情から私にとっては思い出深いブランドなのだが、それはそれとして、このタイプのバッグは私がこのブランドのことを知った10年以上前から存在する定番である。かつて知り合いが持っていて常々うらやましがっていたのだが、当時は手が出なかった。あまり重いものを入れると手提げハンドルやショルダーストラップが延びそうで気が引けるが(ただしラップトップを入れるくらいでは大丈夫そう)、革も縫製も頑強に出来ているし、大きなポケットがこれでもかと外面についているので、収容力自体は抜群だ。ペットボトルや長めの折りたたみ傘など大荷物を常時持ち歩く私のような人間にとっては大変便利な鞄である。トートだが一応マグネットやストラップで開口部が閉じられるのも良い。シルエットも色もそんなに派手ではないので、スーツ姿でもそんなに違和感無いと思う。
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