My Human Gets Me Blues

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2006-04-28

_ [Music] Dancing In Your Head / Ornette Coleman

ダンシング・イン・ユア・ヘッド+1(紙ジャケット仕様)(オーネット・コールマン/バーン・ニックス/ロバート・パーマー/チャーリー・エラービー/ルディ・マクダニエル/ロナルド・シャノン・ジャクソン)

先日の来日公演を見に行って以来、しばらくオーネットの旧作群を聞きまくる日々が続いたのだが、こいつだけは慎重に回避して聞かずにいた。理由は簡単で、聞くと本当に脳内に取り憑かれてしまうからだ。CDプレーヤを止めても、頭の中でエンドレスに自動再生されるようになるのである。あのメロディが。

とはいえ、今日は一日都内を動き回って疲労困憊したし、そうでなくても最近は面白くないことが多く、もうどうにでもなれという気分だったので、帰宅早々ついにかけてしまった。おかげさまで、さっきからずっとあのメロディが頭の中で踊っている。まあ、おかげさまで目はぱっちり覚めました。

まじめな話をすれば、これをジャズだと思うから訳が分からなくなるのであって、やや頭がチャレンジャブルな親父が率いるヘンな人たちがやっているファンクだと思ってぼんやり聞けば良い。ハーモロディック理論がどうとかこうとかもどうでもよい。ロックやプログレが好きな人が何の予備知識も無く聞いたほうが楽しめる音楽ではないかと思う。

それにしても、このアルバムで一番愉しい瞬間は、15分以上経ってようやくヴァリエーション1が終わったと思ったら、間髪入れずまた同じ曲のヴァリエーション2が始まって唖然とする一瞬だ。しかしやばいなあ。何度聞いても破壊力抜群です。

なおこの紙ジャケ再発盤には、モロッコ・ジャジューカ市の民族音楽家と共演した音源の別テイクが追加されている(ちょっと前に出た輸入盤にも入っていた)。まあ、このアルバムの価値のほとんどは前半の2曲にあるので正直どうでもいいんですが、これから買う人は注意が必要だ。先年亡くなった、私が尊敬する音楽評論家のロバート・パーマーがクラリネットで参加しているあたりが聞き所と言えば聞き所か。と言っても全然聞こえないのですが。


2008-04-28

_ [Music] Gumbo! / Booker Ervin, Pony Poindexter & Larry Young

Gumbo(Booker Ervin & Pony Poindexter)

今更ながら、音楽プロデューサーのオジー・カデナ(Ozzie Cadena)が亡くなっていたことに気づいた(NY Timesの追悼記事)。70年代以降は西海岸に引っ込んで悠々自適、83歳の大往生。こうしてNYTにObitも載り、総体としては悪くない一生だったようである。

カデナの仕事として一般によく知られているのは、50年代を通じて雇われA&Rマンとして采配を振るったサヴォイ(Savoy)・レーベルの諸作だろう。財布のひもが大変に固い頑迷なオーナー、ハーマン・ルビンスキと人材難に悩まされつつも、カーティス・フラーのブルースエット(カーティス・フラー)を筆頭に日本でも馴染み深い数々の名盤を送り出すことに成功している。プロデュースに際立った個性はない(出さない)代わり、子供のころから養った黒人音楽への見識を活かし、押さえるべきところは押さえた弛みのない音づくりを心がけていたようだ。そのせいか、カデナが手がけたサヴォイ盤は、ジャケのデザインが揃いも揃ってマヌケでも、全然聞いたこともないようなマイナーなリーダー/サイドメンの作品であったとしても、完全な大ハズレということは少なく、それなりに聞き所があることが多いのである。

ということで、カデナを偲んで何かサヴォイのアルバムを一枚挙げようかとも思ったが、サヴォイを辞めたカデナが次に行ったのがプレスティッジ・レーベルで(エズモンド・エドワーズの後任)、しばらくコテコテのソウル・ジャズもプロデュースしていた、というのはあまり知られていないようなので、そのへんからこれを引っ張り出してみた。ブッカー・アーヴィンのリーダー作のように見えるが、本来はポニー・ポインデクスター名義の作品である。

放っておくと垂れ流しというか締まりのない演奏に終始しがちなポインデクスター(とアーヴィン、アル・グレイ)に、ポインデクスターの出身地ニューオリンズという明確なテーマを与え、軽快で華やかな演奏に仕立てている。オルガンも入っていないし(ちなみにピアノはギルド・マホネス)、この作品に関して言えばとりたててコテコテというほどではないのだが、率直に言って二線級な人材をかき集め、かつ各人の長所(例えばポインデクスターは非常に情景描写的な良い曲が書ける)を活かしてなかなかの聞き物に仕立てるというあたりが、非常にカデナ的だと思う。

おまけとしてアーヴィンやグレイ抜きの演奏が3曲、こちらはポインデクスターがいかにも垢抜けない歌を歌っていたりして絶望的にぱっとしないのだが、最後に今度はポインデクスター抜きの、アーヴィンのオルガン・トリオによる完全未発表録音が5曲も入っていて、こちらは思わぬ掘り出し物だ。アーヴィンの相方のオルガンというとドン・パターソンというイメージが強いのだが、ここではなぜかラリー・ヤングと一緒に演っていて、これが非常にカッコいい。レパートリー的にも、たぶん他にヤングによる録音は存在しない「枯葉」「オールド・フォークス」あたりを演っているので、後年「オルガンのコルトレーン」の異名を取ったヤングがこの時期この手の曲をどう料理しているか、そういった点でも興味深いと思う。

_ [MIAU] シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」

というタイトルのシンポジウムを世田谷でやることになりました。今週木曜ということでかなり急な話ではありますが、参加案内はこちら。この手の話題に興味があり、お時間の取れる方はふるってご参加ください。


2009-04-28

_ [Jazz] com-postについて

最近、com-postというサイトを立ち上げた。音楽、とくにジャズを中心とした諸々の話を自由に書く場が、少なくとも紙の雑誌媒体ではもうあんまりないよねという問題意識を共有する有志が、手弁当で立ち上げたものだ。実は立ち上がったの自体はずいぶん前の話なのだが、そのころは本業やらなにやらがテンパっていてここでアナウンスする余裕がありませんでした。ごめんなさい。

私はぺいぺいだが、他の同人は『ジャズ・オブ・パラダイス』『ジャズ選曲指南』の後藤雅洋(四谷いーぐる)、『ジャズの明日へ―コンテンポラリー・ジャズの歴史』の村井康司という重鎮に、益子博之、須藤克治という元『ジャズ批評』レギュラー新譜レビュアーの二人、シンコー・ミュージックのディスク・ガイド・シリーズ JAZZサックスの編者で『世界最高のジャズ』『コルトレーンを聞け』『元祖コテコテ・デラックス』の著者原田和典、『ローランド・カーク伝』の訳者で『週刊ラサーン 《ローランド・カークの謎》』の著者林建紀という錚々たる面々である。

ちなみに名付け親は確かに私なのだが、私が活発に関わっていたのは去年の夏くらいまで、それから後は身辺があれやこれやと忙しくなって私は敵前逃亡、事実上の幽霊会員であった。それがどうにか立ち上がったのはひとえに他の方々のご尽力のおかげである。

中身としては、何せ全員自腹で買っているもので何にもひもがついておらず、結果としてたいへん正直というか身も蓋もない新譜クロスレビューが面白いのではないかと思う。あと、おそらくはあまりにも近しい過去すぎてほとんど語られることのない1970年代以降のジャズ名盤を10年ごとに100枚ずつ挙げてみましょうという企画のFAMOUS JAZZ CD 21 PROJECTも、とりあえず1980年代が終わっている。これはなんでもそのうち書籍になるともっぱらの噂である。

なお、私が今まで書いたのは

という感じ。