2011-12-31 [長年日記]
_ [Jazz] Storyteller / Jim Hall
1981年のCirclesと1989年のAll Across The Cityをカップリングした2枚組。お買い得な上に両方とも今となっては単体では手に入りにくいのでありがたい。
CD1のCircles相当分は、基本的にホールのギター、ドン・トンプソンのベース、テリー・クラークのドラムスというギター・トリオ編成なのだが、トンプソンは裏芸のピアノも弾く。「も弾く」どころか、1曲目の(All Of A Sudden) My Heart Singsなどでは全面的にトンプソンのピアノがフィーチャーされており、別途ベーシストとしてルーファス・リードが加わっているくらいである。で、この演奏がものすごく爽快でかっこいい。途中急速テンポに切り替わってからが聞きどころ。
私のような雑駁な耳の持ち主にとっては、1枚通してこの調子だったらもっとうれしかったのだが、2曲目以降は、いかにもいつものホールという感じの、エッジを丸くした独特のギターの音色が楽しめる地味でじっくりした演奏。まあ、これはこれで大晦日の夜とかに聞くにはちょうどいいんですけれども…。
CD2のAll Across The CityはCirclesの8年後の作品。ギル・ゴールドスタインのキーボード、スティーヴ・ラ・スピナのベース、テリー・クラークのドラムスというカルテット編成。これまた地味ではあるけれども、都会的洗練の極致みたいな音楽で、かつ音楽的な中身も濃いので、こういうのが好きな人にとってはたまらんのだろうなあ、というのは私でも分かるのだが、一枚通して聞くのは個人的にはちとつらいっす。渋いバーとかでこういうのが静かに流れていたらしびれるかもしれませんね。80年代のキーボードを多用した作品は、今聞くと異様に古くさく感じられて聞くに耐えない場合もあるのだが、ゴールドスタインのキーボードの使い方はつぼを心得た控えめなものなので、今聞いてもあまりズレを感じさせない。