2011-12-26 [長年日記]
_ [Jazz] The Wailer / Sonny Cox
シカゴ特産のヘンテコなジャズ/ソウル/R&Bを集めた名コンピレーションChicago Soulについてはが、この中に一曲だけ入っていたのがソニー・コックスである。アルト・サックスの音そのものが押しつけがましいというか、不必要に泣きが入っているというか、なかなかの押し出しの良さで大変気に入り愛聴したものだ。ちなみにYouTubeにも音源がありました。聞けば私が何を言いたいのか理解していただけると思う。
で、前出の曲名がタイトルとなった、たぶんコックス名義としては唯一のアルバムがこれなのだが、実に、実に、素晴らしい。なにせずっとこの調子なのである。一応売れ線狙いというか、メロウなことをやりたかったのではないかと思われる節もあるのだが、そもそもあんまりサックスうまくないので、ギラギラしたところ、泥臭さがイヤが応にもにじみ出してしまう。特に掉尾を飾るHoggin'という曲が、タイトルもまあ大概なひどさだが、内容もそれに一歩も譲らない圧倒的な暑苦しさで素晴らしい。リチャード・エヴァンスのアレンジもダサかっこいいの極致と言えよう。
このアルバムが録音されたのは1966年で、その後ミュージシャンとしてのコックスの行方は杳として知れなかったのだが、結局音楽からは足を洗ってそうだ。それも、勝率9割で州大会でも優勝とかいう超優秀なコーチだったようだが、人間的にはいろいろ問題があったらしいあたり、想像通りでなんだかうれしくなる。ジョー・ヘンダーソンと友達だったというのも初耳だったが、「ソニー」がソニー・スティットに由来しているというのも仰天だ(一体どこが似てるんだ?)。何はともあれ、幸せな余生を送ってくれていてよかった。