2008-12-24 [長年日記]
_ [Jazz] 『ジャズ批評』対談
『ジャズ批評』誌でした。2009年1月号(No.147)に載っている。
若い世代から見た現代のジャズ状況やジャズへの接し方について話してくれと言う話だったんだが、確かに生物学的な年齢は若いものの頭の中は相当古い私が適任であったかどうかはやや疑問である。正直何をしゃべったのかあまり覚えていなかったのだが、今読み返すと案の定大変後ろ向きな意見を開陳しております。興味のある方はお読みください。
_ [Jazz] All Stars X'mas Concert / Various Artists
今日はクリスマスイヴですね。例年どおり全然クリスマスらしくない生活を余儀なくされておりますが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
他人の動向に流されやすい人間なので例によってクリスマス・アルバムを聞いているのだが、今年はこれを選んだ。日本盤なのになぜかAmazon.co.jpでは買えないのだが、HMV.co.jpならなぜか買えるらしい。単にカタログから消してないだけもしれないが。NORMAから出ているもので、番号はNOCD5664です。
これは1949年12月24日(25日説もある)、カーネギーホールで開催された一大クリスマス・コンサートの記録なのだが、メンツがイカレている。まず出てくるのがバド・パウエル・トリオ(バド、カーリー・ラッセル、マックス・ローチ)で、最初から狂気全開の凄まじい「神の子は皆踊る」を披露。お前ら、悪いことは言わないのでこの曲だけでも一生に一度くらいは聞いたほうがいいですよ。その後、このパウエル・トリオにマイルス・デイヴィス、ソニー・スティット、夭折した天才バリトン奏者のサージ・チャロフ、トロンボーンのベニー・グリーンが加わってジャムセッションを一曲。続いてスタン・ゲッツが自分のクインテット(カイ・ウィンディング入り)で登場し、さらにウィンディングが抜けたカルテットでも演奏。で、中入りに誰が出てくるかというと、これが名手ジミー・ジョーンズのピアノだけを従えたサラ・ヴォーンである。ここまででもうすでにかなりお腹いっぱいだが、さらに今度はリー・コニッツやウォーン・マーシュを擁した最強編成のレニー・トリスターノ・クインテットが出てきて2曲。得にここでのトリスターノのソロは実に味があって素晴らしい。そしてマイルスらが戻ってきて再度ジャムを2曲。これで終わりかと思ったら、大トリを飾るのはチャーリー・パーカーのレギュラー・クインテットで、ダメ押しのように5曲たっぷり演じるという按配。
とまあ、ほとんど無意味なまでに超一流の陣容を揃えた豪華なライヴの記録なのである。でも当日はなにせクリスマスだったので全然客が入らず(そういうものなのかしら?)、報道もあまりされなかったそうだ。録音が残っていたのは幸運だったと言えるだろう。個人的にはマッセイホールのあれなんかよりこっちのほうがずっと「ビバップの祭典」と言うにふさわしいと思っているのだが、真偽のほどは自分で確かめてみていただきたい。
「後ろ向き」とおっしゃいますが、私だってジャズ喫茶やってなかったら、たぶん八田さんと同じこと言ったと思いますよ。それにあの記事はけっこう好評で、村井さんも「面白いじゃないですか」と言ってくれました。
あけましておめでとうございます。そう言っていただけると光栄ですが、ただまあ、個人的にはなんとなく忸怩たるものもあるのです。