2008-10-13 [長年日記]
_ [Rant] ノーベル経済学賞はポール・クルーグマン
まあ、どうせそのうち取るだろうとは思われていたわけですが、なんだかんだ言って政治的に絶妙なタイミングでしたね。ノーベル賞は選考過程が今ひとつよく分からないのだが、これはどう考えてもあげる側が狙ってやったことでしょう。
今や誰も覚えていないが(当人もあまり覚えていない)、私は学部のころは国際経済学のゼミにいて、そういう勉強をしていたのだった。だからクルーグマンの初歩向けの教科書も読みましたよ。私がきちんと頭からしっぽまで読んだ唯一の経済学の教科書かも知れない。
クルーグマンはまともな経済学者でかつ文章がおもしろいという珍しい人だが、とりあえず読み物で一冊というならThe Age of Diminished Expectations: U.s. Economic Policy in the 1990s(Paul R. Krugman)でしょうなあ。この人は文章に独特の味とユーモアがあるので、できれば原文で読んだ方がよいと思う(山形浩生さんの訳もたいしたものなのだが)。もう少し学問寄りでかまわない(ただし本当にゴリゴリの専門書はイヤ)という向きには、私の読んだInternational Economics: Theory and Policy(Paul R. Krugman/Maurice Obstfeld)がちょうど良いんじゃないか。大部だが異例なほど読みやすいです(あと、割と頻繁に新版が出るので古臭くない)。訳は大昔かの竹中平蔵さんがやったみたいですが、そちらは読んだことないので分かりません。
あと、クルーグマンがニューヨーク・タイムズに週二回(月金)書いているコラムと、ブログ(The Conscience of a Liberal)は必見。何度も言うが、まず読み物として抜群におもしろいです。実のところお恥ずかしいことについ最近までクルーグマンがブログを書いていることを知らなかったのだが(もちろんコラムは知っていた)、たまたま金融がこういう状況ということもあるのか、一日数回というものすごい頻度で更新してるのね。どう考えても私の20倍くらいは忙しいに違いないクルーグマンですらこれくらいアウトプットを出しているんだから、私も無精せずに思うところをちゃんと書かなあかんなあというのが、最近割に定期的に記事を書いている理由の一つだったりもします。