2007-09-29 [長年日記]
_ [Music] New Year's Eve in N.Y. 1973 / Rahsaan Roland Kirk
私はできるだけ渋谷に行かないようにしているのだが、それは人ごみが嫌いだからでもヤマンバーが怖いからでもなくて、行くとどうしてもしかるべき店に立ち寄ってしまい、そうするとどうしたわけかしかるべきものを大量に買い込んでしまうということになり、結果として財政的に大ダメージを被るのが目に見えているからである。そういえば知り合いで西新宿にはどうしても行くことができない、という人もいたが、閑話休題。
まあそんなわけで、先日よんどころない事情で渋谷に行きまして、待ち合わせの都合上結構時間が空きまして、そういうときは東急ハンズにでも入って木工用ボンドでも買ってりゃよかったのだが、残念ながらわたくし八斎戒が守れるほど強い人間では無く、気がついたらいつの間にかプレスCDとCD-R若干枚が手中にあったというわけだ(万引きしたわけではない)。これは1973年の大晦日、「ヴィレッジ・ヴァンガード」でのライヴ。何せ年越しのお祭りなので、カーク以下観客も含めて皆くつろいで楽しんでいるようである。
サウンドボード録音なので、音質的には若干痩せている部分もあるが、いやーもう2曲めが最高なんだよ。全然違うタイトルがついてるけど実質的にはチェロキー(Aメロのコード進行にちょっと手が入ってる)なんですがね。なんと言うかもう地獄のようにグルーヴするのでまいった。雨が降ると憂鬱な気分になるのだが、いっぺんで吹き飛んでしまいましたよ。カークはいつも通り秘技を駆使していてやばいが、ここでは特にバリトンのケニー・ロジャーズとか言う人がブリブリ太い音色で吹きまくっているので最高だ。マイキングのせいもあって場面によってはカークを食うくらいの迫力がある。これが20分続いてもうほとんど拷問ですわ。
カークは(脳卒中で半身不随になった後の演奏ですらも)私の精神をほぼ百発百中で開放してくれるので、そういう意味では何を買っても安心確実高利回りな銘柄なのだが、これは既発の音源と比べてもかなりいい。公式盤としてジョエル・ドーンのレーベルあたりで出してくれるといいんだがなあ。
ちなみに今までカークを聞いたことがない方、下の動画なんかはカークのカークたる所以をよく表していると思う。いきなりブートはちょっと…と言う方はVolunteered Slavery(Rahsaan Roland Kirk)が絶対のおすすめですね。同時期のライヴ盤ということならBright Moments(Rahsaan Roland Kirk)も良い。どういう人物だったのか事績を知りたいなら当然ローランド・カーク伝(ジョン・クルース/林建紀訳)。