2007-06-26 [長年日記]
_ [Music] Now Hear This / Hal Galper
Earth Jones(Elvin Jones)を聞いてなんだかヒノテルづいてしまい、70年代の参加作を聞きまくっているのだが、これも日野皓正が入っていることで価値が大幅に増した快作。ワンホーン・カルテットなので、絶頂期のヒノテルの吹きまくりが存分に堪能できる。おまけにドラムを叩くはトニー・ウィリアムスという豪華な陣容。大昔にCD化されて以来廃盤が続いたが、最近ようやく紙ジャケで再発された。
やはりここでのポイントはトニーのドラミングなのだが、率直に言って1970年以降のトニーは展開が読めるというか、60年代の複雑精緻さ、繊細さが失われて若干クリシェに頼るようになったような気がしないでもない。しかし、ここではむしろそうした大味さが良い方向に作用していて、バタバタと叩き込んでフロントを強烈に鼓舞している。
このアルバムに言及されるときのお約束というか、リーダーなのにピアノのハル・ギャルパーの影が薄いのが少々可哀想なのだが、まあアルバムそのものとしては一世一代の傑作になったのだから以て冥すべし。あ、まだギャルパー死んでないか。
_ [Music] Children of the Night / Hal Galper
ひとつ前のエントリ、痩せても枯れてもリーダーなのにああいう書き方はないか、と反省したのでもう一枚同時期のギャルパーのリーダー作を挙げておこう。こちらはフロントに当時売出中のブレッカー・ブラザーズを据えたクインテットのライヴ。Now Hear Thisも演っている。Children of the Nightはウェイン・ショーターのとは同名異曲。
こちらもドラムスのボブ・モーゼズがキーパースンで、背後から全員を煽り立てて熱気の上昇に大いに貢献している。マイケルがこの時期らしくメカニカルに吹きまくりなのは評価が分かれるところかもしれないが、意外に健闘しているのが兄貴のランディで、へえ、気合いさえ入ればストレートなジャズでもこれくらいのソロが取れたんだ、と見直した。Children of the Nightの出だしで思いっきりトチっているのは、まあしかたがない。
こちらではピアノソロでBlue and Greenを弾いてみたり、俺がリーダーなんだ、Now Hear Thisよりは目立つんだ、という努力の跡は認められるものの、ううむ、やっぱり影が薄いなギャルパー。いいピアノ弾きなんだけど。