2006-12-29 [長年日記]
_ [Music] The Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery (Ultra Rare American Club Performance)
ウェス・モンゴメリーにはThe Incredible Jazz Guitar of Wes Montgomery(Wes Montgomery)という全く同名の超名盤(1960年録音)があるが、こちらは1965年の放送録音を基にしたブートレグ(?)だ。案の定Amazon.co.jpのレビューでも間違えている奴がいる。こいつら聞いてからレビューを書いているわけじゃないんだろうか?
最初の4曲は1965年2月12日、ニューヨーク「Half Note」における録音となっているが、ハーフノートで放送録音というあたりでピンと来る方もいるだろう。お察しの通り、一昨年オフィシャル化されたコルトレーンのOne Down, One Up: Live at the Half Note(John Coltrane)と同じで、WABC-FMの「Portrait in Jazz」の放送録音がベースになっている。この番組は一回が45分で、コルトレーンの場合は一曲がやたら長いこともあってフェイドイン、フェイドアウトの嵐になっていたが、このブートに収録された4曲はすべて完全なパフォーマンスだ。ただ、どうやら最後にもう一曲(West Coast Blues演奏されたらしいのだが、放送時間が無くなったのか司会のアラン・グラントの声がかぶさっていたのか、このCDには収録されていない。例によってこの音源も出どころはエアチェック王ボリス・ローズだったようで、最初はBeppo、次いでカナダ(?)のどこぞから「Stretching Out Live in '65」というタイトルでLP化されていたようである。音質はコルトレーンの奴同様、しょせん放送録音なので涙が出るほど良くはないが、そんなに悪くもない。
内容はと言えば、これはもう冒頭のCaravanに尽きる。そもそもウェスがこの曲を録音したのは他に一度(VerveのMovin' Wes(Wes Montgomery)のセッション)あるだけで、レパートリとしても珍しいのだが、超高速でぶっとばすウェスのソロは文句無しにかっこいい。これがあるので他が若干霞むのだが、あまりムラの無い人だけにもちろん水準以上の出来である。
残りの4曲は1965年4月30日、ヨーロッパ・ツアーの最中にドイツ・ハンブルグのNDR(北ドイツ放送協会)が収録、放送したもの。音響から判断するにかなり広い会場でのライヴのようで、ハロルド・メイバーンを中心とした当時のレギュラー・カルテットではなく、マルシアル・ソラル(マーシャル・ソラール)が中心の臨時編成カルテット、加えてゲストでジョニー・グリフィンが一曲だけ参加という形式である。同じ時にハンス・コラーやロニー・スコットらも交えて数曲録音しているようだが、そちらは日の目を見ていない。こちらのセッションも申し分の無い出来だ。