2006-09-27 [長年日記]
_ [Reading] My Job Went To India オフショア時代のソフトウェア開発者サバイバルガイド / Chad Fowler
監訳した本その1。手元にはずいぶん前に献本が来ていたのと、最近いわゆる普通の本屋に行かないのとでよく事情が分からないのですが、たぶん本来は今日書店店頭に並ぶということになっているのではないかと思います(Amazon.co.jpの発売日も昨日だし)。インドとか中国とかが安くて優秀な人材を武器に猛追する中、今後先進国で高給取りなプログラマたる皆さんが生き延びるにはどうしたらよいかを具体的に説いた、まあ言ってしまえばハウツー本です。薄くて高いけど中身は面白いのでよかったらこうてや。章立ても細かいので読みやすいと思います。個人的には、著者が元ジャズミュージシャンというところに親近感を持てた(昔ピテカンの増井さんに話して笑われたけれど、私はいつもハッカーをジャズマンとの対比で考えている)。ブロガーワナビーは37.か38.を読んでみな。
個人的な実感として、先月この本の一部の舞台であるバンガロールまではるばる行ってきたのだが、まあなんと言いますか、ダメなところはいくつも見えて、これならまだ大丈夫かなと思う半面、レストランや雑貨屋と同じ頻度で「Software Company」の小さな看板が街中に溢れているのには呆然としてしまった。もちろん連中が今何ができるかと言えば、それこそ著者が面接したような(そして私も何人か会うことができた)ベストアンドブライテストな一握りは別として、正直それほど大したものではないと思う。でも、彼らは必ず私たちに追い付く。残された猶予は5年も無いんじゃないですかね。
_ [Reading] Ship It! ソフトウェアプロジェクト 成功のための達人式ガイドブック / Jared Richardson & William Gwaltney Jr.
監訳したのをもう一冊。こっちはずいぶん前にもう出ていたのだが、紹介しそびれていた。例によって薄くて高いけど中身は面白いので(こればかりやな)よかったらこうてや。なんと言いますか、最近の流行もの(CVSとかSubversionとかWikiとか)を、じゃあ具体的にどう開発プロセスに入れるのよという疑問に答えた本です。単に便利そうなツールをばらばらと導入するだけではダメで(最近Wikiはあんまり仕事の役に立っていないという話もあったよね)、仕事のやり方自体も工夫しないとねというのが話の骨子。
こっちの序文は私が書いたのだが、内容について言いたいことはそこで簡単に述べたので読んでくだされば幸い。個人的には、日本でこの本で主張されるようなプロジェクト・マネジメントを実際に導入した企業があれば、その後どうなったか、効果のほどや苦心談などぜひお話を伺いたいと思っている。ご一報ください。