2006-08-05 [長年日記]
_ [Music] Soul Jazz Records Presents Chicago Soul / V. A.
コンピレーション盤は外れも多いし、すぐ廃盤になるし、店頭だと探しにくいし、そもそも元になった各アーティストのアルバムを集めてしまえば原則不要となるわけで、いろいろな意味で微妙なジャンルなのだが、これなんかは目の付けどころが良いので楽しく聴ける。要は1960年代のチェス・レーベルに残された音源のコンピなのだが、伝統的な正調ブルーズからソウルや現代的なR&Bへの移行期をうまく捉えていて、ジャズやサイケデリック・ロックからの影響も濃厚なごたまぜ感が素晴らしい。
ハウリン・ウルフ(Evilがすげえカッコイイ)やボ・ディドリー、そしてマディ・ウォーターズ(Electric Mud(Muddy Waters)から一曲)といったベテラン勢の意外な健闘も光るが、少なくとも日本ではジャズという文脈では黙殺されることの多いラムゼイ・ルイスやエッタ・ジェイムズも出てくるし、ジャズ・ハーピストのドロシー・アシュビーやソウルフル・ストリングスといった色物も登場と抜かりがない。フィル・アップチャーチやミニー・リパートン(当時ロータリー・コネクションに在籍)あたりまで来ると完全に感覚が新しくなっていてこれがまた良い。エズモンド・エドワーズやリチャード・エヴァンス、チャールズ・ステップニーといった裏方の活躍についても、そこそこ詳しいライナーできちんとカバーされている。全体に、売れ線を意識しつつも何か新しいことをやろうとしている意欲的な姿勢が素直に出ているのが好ましい。これはまさに過渡期ならではの味わいだと思う。
とまあ、いろんなこと言ってますけど、結局は変な親父がボンテージで絶叫しているやばいジャケットが気に入って買ってみただけなんですが。意外な掘り出し物。