2004-08-14 [長年日記]
_ [Music] Spinning Song: Duck Baker Plays The Music Of Herbie Nichols
池袋のディスクユニオンを覗いたら、DIWから出ていた日本盤CDの中古が500円だの800円だのとかなり有り得ない値段で投げ売りされていて、気絶して思わず6枚も買ってしまった。これはそのうちの一枚。
ギターの世界に疎いのでダック・ベイカーというのは全く知らない人だったが、教則本やビデオなどを多く出していて、どちらかというと教育者として有名な人らしい。結構頻繁に来日しているようだ。
そういった人が、ハービー・ニコルズの作品を、ソロ・ギターで演って、しかもジョン・ゾーンのレーベルAVANTから出すという企画そのものがまず面白い。ジャケットにも見ての通り当人ではなくニコルズの写真(フランシス・ウルフが撮った有名なポートレイトですね)が使われているので、知らない人が見たらベイカーとはこういう人だと思うか(ベイカーは白人です)、あるいは1964年に亡くなった故ニコルズの「新作」だと思うか、どのみち変に誤解するような気がする。
内容はと言えば、いかにもニコルズらしい屈折したメロディー・ラインと変ちくりんな構造を持つ曲を、あまり凝らず律義に淡々と解釈してギター一本で弾き切った、地味ながら聞き飽きの来ない代物。別に早弾きなどでテクニックをひけらかしているわけではないが、並の技倆でないことは素人にも分かる。アクースティック・ギターの音色もあいまって、非常に味わい深い。
また、おそらく作曲者当人が遺した録音よりも馴染みやすいと思われるので、ニコルズに関心はあるが聞いたことはないという方にもおすすめできると思う。なお、ニコルズ自筆の「Bartok」の譜面がジャケットの内側に載っています。