2006-11-24 [長年日記]
_ [Music] Stockholm Sessions / Eric Dolphy
エンヤから出ているドルフィーのライヴ発掘ものは2枚あるが、どちらもなかなか良い出来だ。もう一枚というのはベルリン・コンサート(紙ジャケット仕様)(エリック・ドルフィー/ベニー・ベイリー/ペプシ・アウア/ジョージ・ジョイナー/バスター・スミス)で、別にこれも悪くはないが、個人的にはこのストックホルムでのライヴのほうが好みの曲が多いので良く聞く。エンヤの常でしばらく入手が難しかったが、つい最近日本盤CDで再発されたばかりだ。サイドメンは寄せ集めと言えば寄せ集めだが、皆そこそこの腕はあるので、ドルフィーの足を引っ張っているという印象はない。ドルフィー自身はあまりバックに気を使わず、自分のソロに集中して好きに吹いているようだ。
以下オタク話。このアルバムはディスコグラフィカルなデータの記載がむちゃくちゃで、曲名にしても1曲めのLossというのは本当はLes、2曲めのSorinoというのは正しくはSerene、AnnというのはMiss Ann、5曲めのAloneは当然マル・ウォルドロンのLeft Alone、Geeweeというのは(まあ読みはこれで合ってるから間違いと言うのは酷かもしれないけれど)G.W.、とほとんど全部間違いである。せっかく再発するんだから曲名くらい直せば良いと思うのだが。ちなみにピアノが2人記載されているが、Les、Serene(本テイク)、Don't Blame Meでピアノを弾いているのがクヌート・ヨリエンセンで、テレビ用に収録されたカルテット編成の音源。残りははルネ・エフヴェルマンがピアノで、アイドリース・シュリーマンがトランペットを吹いたラジオ由来の音源ということのようである。テレビやラジオが元だと言ってもエアチェックではなくマスターテープから音を採っているので、音質はとても良い。ヨリエンセンもエフヴェルマンも最近サバービア方面のおかげで日本では妙に有名になった地元スウェーデンのピアニストだが、特にヨリエンセンはなかなか達者なピアノを聞かせる。なお日時は1961年9月25日および11月19日とされることが多いが、これらはラジオやテレビで放送された日付なので、録音日としては1961年9月3日、4日、5日のいずれかが正しい。なので、実はコペンハーゲン録音のエリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ Vol.1(エリック・ドルフィー/チャック・イスラエル/エリック・モーズホルム/ベント・アクセン/ヨルン・エルニフ)、エリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ Vol.2+1(エリック・ドルフィー/ベント・アクセン/エリック・モーズホルム/ヨルン・エルニフ)、エリック・ドルフィー・イン・ヨーロッパ Vol.3(エリック・ドルフィー/ベント・アクセン/エリック・モーズホルム/ヨルン・エルニフ)よりも前の録音ということになる。