2015|08|
2006-11-04 [長年日記]
_ [Reading] 星降り山荘の殺人 / 倉知 淳
元はと言えばブックオフで買ったゾッキ本。この作者は例の猫丸先輩シリーズも書いている人だ。札幌への飛行機の中で読んでいた(というか読み終わってしまった)のだが、ラストはなかなかのどんでん返しで楽しめた。これ以上内容について何か書くと思わぬところでタネがばれてしまうかもしれないので、一切書かないことにしよう。
まあ、あざといと言えばあざといし、犯行の動機がやや唐突というか説得力がないので(おっと、でもこれくらいは書いても大丈夫だろう)、そこらへんで好みが分かれそうだが、入念に伏線を張っているから最後のどんでん返しでの「してやられた」感が深まるわけで、これは構成の勝利だと思う。なんというか、頭から尻尾まであんこが詰まっているたいやきのような、という分かるような分からないような形容がぴったりのお話。
推理小説の醍醐味は、作者が読者たる私たちをいかにうまくペテンにかけてくれるかという一点にあると私は思っているのだが、これなどはもうペテンもペテン、大ペテンである。それだけに読後感はうまくだまされたという気分で一杯、爽快きわまりない。