2004-01-31 [長年日記]
_ [Music] Jon Hendricks Recorded In Person At The Trident
ボーカリーズの天才Jon Hendricksが絶頂期に残した1963年カリフォルニアにおける録音。Lambert, Hendricks and Rossのようなグループではなくこの人のソロ、しかもクラブにおけるライヴ録音というのは極端に少ないので、そういう意味で非常に貴重な作品である。
というようなデータ的な話はともかく、個人的に大好きなアルバムだ。例の「無人島に持っていく一枚」というような話では少なくともノミネートは確実というほど気に入っている。特に冒頭のThis Could Be The Start Of Somethingがめちゃくちゃ爽快でたまらない。他にもWatermelon ManとかGeorgie Fameが歌ったYeh! Yeh!とかも入っていて、ラウンジぽいところもあるのでクラブユースにも向いているんではなかろうか。この人はそれほどバラード向きの声質ではないと私は思うのだが、それでもQuincy JonesのStockholm Sweetenin'なんかをしみじみと歌っていてとてもうまい。
大昔にいっぺんCDになって以来ずっと廃盤で、Googleで検索しても他に誉めている人もおらず、こんなのが好きな物好きは私くらいかと思っていたら、松林さんもお気に入りとかで、世の中狭いというか、なんというか。
ちなみになんでいまごろそんな廃盤の話をするかというと、某所でJerry Granelliというフリージャズ畑のドラマーの話が出たのだが、どうも聞き覚えのある名前だなあと思い調べて見たら、この作品のバックで普通に4ビートを叩いているのが実は彼なのだった(ジャケにもサングラスかけて写っている)。Peanutsもののジャズで有名なVince Guaraldiのトリオの同僚で、このアルバムにも参加しているベースのFred Marshallもまだ健在のようだ。なかなか切れ味の良いピアノを弾いているフィリピン出身のFlip Nunezはすでに故人のようだが、1976年のクロスオーヴァー作品My Own Time And Spaceが最近P-Vineから再発されたとかで、再発天国ニッポンさまさまですね。テナーのNoel Jewkesはどうなったかわからないが、おそらくスタジオワークをやっているのだろう。