2003-09-02 失意と絶望の日々
_ [OpenSource] Liferea
たまにはこじゃれたblogをサーフしてナウいヤンエグを気取りたいわけだが、こいつらの更新をアンテナで追うのは結構むずかしい(というか、いわゆるアンテナ的なものと馴染まないような気がする)。そこでXで使えるBlog専用ビューワRSS aggregatorを物色したのだが、このというのはGTK2ベースでなかなか良い。Windows用のFeedReaderのクローンなんだそうだ。
_ [Music] Ups'n Downs / Bud Powell
最晩年期のBud Powellの演奏を寄せ集めたもの。原盤はMainstreamだが、ここはかつてEmArcyやTimeのプロデューサーだったBob Shadがやっていたレーベルで、90年代初頭には娘のTamara Shadがこのアルバムを含めた何枚かをCDでリイシューしている。そのときにはもう2曲追加されて12曲入っていたそうだが、私が買ったSonyからの再発盤に入っているのは10曲のみである。相変わらずSonyは仕事が甘い。
録音時期にしろパーソネルにしろデータが皆無に等しく、仮にデータがあっても全然信用できないので、ではかなり耳と勘に頼ったwild guessを入れた(educated guessとはおこがましくてとても言えない)。書いた当人も根拠を忘れそうなのでメモ。
まず、アルバムの構成としてはソロが3曲、トリオが7曲だが、音響から判断するにソロは1曲('Round Midnight)がかなり広い会場(客も多い)でのライヴ、残りはスタジオ録音のようだ。で、ライヴ録音のほうは、かなり高い確率で1965年3月27日カーネギーホールにおけるCharlie Parker没後10年記念コンサートの音源だと思う。当時のIra Gitlerの記事によると、この日Powellは一人で現れて'Round MidnightやNo Smokin'を弾いた。他にKenny DorhamやBillie Taylerらが出演したこのコンサートの模様は一部がLimeLightから出ているが、LimeLightはEmArcyのEmArcyと同じくMercuryの傍系レーベルだったので、Bob Shadが何らかの伝手でテープを手に入れたと考えられなくもない(ツッコミ参照)。
あとのソロ2曲に関してはあまり詳しいことは分からないが、録音が比較的良いのでまともなスタジオで録ったもの(Francis Paudrasの宅録ではない)と思われる。ちなみにジャケットにはI Can't Believe That You're in Love With Meと記載されているが、これは明らかにPowell自作のButtercupだろう。まあ曲調はよく似ているが。
残りのトリオセッションは音質から見ておそらく同一メンバ、同一日時の録音なのだが、データが一切無いのでさっぱり事情がわからない。少なくともゆるゆるのドラミングから見てJ.C. Mosesがドラムスなのは間違いないだろう。ベースは当時のレギュラーJohn Oreよりうまいような気がする。ノイズやドロップアウトが顕著で全体に音質はそれほど良くはないが、バランスや低音の録音状況自体はそんなに悪くない(というか、後とも関連するがシンバルや低音が前に出たどっかで聞いたようなバランスなのである)ので、まともなスタジオで録ったもので、マスターではなく(ミュージシャンに渡される)リファレンステープかそのコピーが元ではないかと推測される。拍手や男の声(「ブラボー!」)が最後に入るのでしばらくライヴ録音だと思いこんでいたのだが、他には一切客の声やざわめきが聞こえないし、どうもとってつけたような感じがするので、スタジオ録音に後で拍手や声だけ追加したんじゃないかと思うのだ。
このセッションに関して不思議なことはもう一つあって、レパートリーが明らかに変だ。パリ時代を含め、晩年のパウエルのレパートリーはライヴ、スタジオ録音を問わずかなり固定されているのだが、このトリオセッションでは明らかに最晩年の演奏にもかかわらず、レパートリーが自作、それも新作中心なのである。おまけに問題のNo Smokin'やA Moment's Notice(信じられないかもしれませんが、あのColtraneのMoment's Noticeです)とか明らかにそれまでのPowellとは接点のないナンバーが取り上げられている。
こういうことをPowellにやらせることができた(というより、やらせる根性があった)レーベルというと私にはひとつしか思い浮かばなくて、それはAlfred LionがいたころのBlue Noteなのだが、果して1964年の帰国以降にBud PowellはBlue Noteでスタジオ録音を残しているのだろうか。ある資料によると、(曲目は分からないが)どうやらそういうセッションが1964年末、Englewood Cliffsに移転後のRudy Van Gelder Studioで行われたようなのだが…。
2004-09-02
_ [Music] Windy City Boogie / J.T. Brown
エルモア・ジェイムズやJ.B.レノアといったシカゴの実力者のバックで、とにかく気合のこもった(というか気合しかない)サックスを吹いていたのがこのJ.T. ブラウンだ。ジャズやジャイヴ方面から流れて来た人ではなく、生粋のブルーズ・スペシャリスト(というと聞こえはいいがようするにブルーズしか吹けない)なのであまり日本では注目されないようだが、立派なホンカーの一人である。
私はサックス吹けないのであまりよく分からないが、この人は楽器の扱い、演奏技術という意味でのテクニックはあまり無かったのではないかと思う。豪快と言えば豪快だが、音色もフレージングも単調だし、良く聞くとそれほど楽器を鳴らし切っているわけではない。独特の音色と言えば聞こえはいいが、不安定な音程に加え妙なところで妙なビブラートがかかる吹奏は、「The Nanny Goat Horn」と揶揄されることもあったようだ。雌ヤギのメェーメェーという鳴き声に聞こえるというわけだが、実際そう聞こえるので仕方がない。歌も歌うが、だからなんだという程度のものである。ようするに、西洋音楽的な洗練というようなものからは全く遠い人なのだが、しかしこの人ならではという個性というか、「味」がある。
このCDには、J.T.が1950年代初頭の絶頂期に遺したリーダー録音の大半が集められていて、サイドマンもブルーズで煮染めたようなメンツが揃っている。レパートリーも、大同小異のブルーズがひたすら続く。まるで金太郎飴のようだが、そこがいいのだ。白眉はやはりタイトル曲か。
どうでもいいが、パーソネルに「Roosevelt Sykes, encouragement & zest」と書いてあって、いったいルーズベルト・サイクスは何をやっているんだろうと思ったら、本当にバックで合の手を入れて「激励」(歌っているわけではない)しているのだった。何の意味があるんだ‥。
_ Shaolin [正確には Mercury の傍系ですね.それはさておき,Limelight レーベルのリリースが始まったのは 196..]
_ mhatta [なるほど、勉強になりました。]