2010-05-24
_ [Jazz] At Newport / Dizzy Gillespie
脇目もふらず爆走するジャズというのがたまに無性に聞きたくなるのですが、そういうときにはこれが良い。冒頭のDizzy's Bluesがいきなりやばい。ビッグバンドと互角にガンガン(というかカンカン)張り合うウィントン・ケリーのピアノも良い。ケリーというと軽妙でおしゃれなピアニストというイメージが強いが、この人は尋常ならざる力強いタッチを持つピアノ弾きでもあった。
しかし、この1957年のニューポート・フェスほど、映像が残っていたらなあと思うライヴはない。たとえば3曲目、ディジーは一体何であそこまでアナウンスでピー・ウィー・ムーア(バリトンサックス)をプッシュしまくったのだろう。言葉を聞くだけでは事情がよく分からないのである。アナウンスそのものは、大仰な言葉で偉そうなことを言うくせに(ディジーが小馬鹿にしていた)白人バンドリーダーのスタン・ケントンやローレンス・ウェルクを褒める程度の見識しか無い白人ジャズ評論家の口調をからかったものなんじゃないかと思うのだが、しかしなぜピー・ウィー・ムーアだったのかは未だに謎のままである。風采がしょぼい人だったのかなあ。なお、実際のピー・ウィーはこういう人だったらしい。Mantecaの出だしで「I Never Go Back To Georgia」とチャントを繰り返すようになったのも確かこのライヴからだったような気がするが、ジョージア州で嫌なことでもあったんだろうか。南部巡業が失敗してビッグバンドを解散するはめになったこともあるディジーだけに、いかにもありそうな話ではあるが。