2003-08-30 隠遁中
_ [Music] Scar / Joe Henry
Joe Henry(どうでもいいがMadonnaの義理の弟)は、初期のTom Waitsを思わせる煙で燻したような渋い声を持っていて、最近だと去年出たSolomon Burke最新作のプロデュースもやっていた才人。2000年に出たこの作品では、やはりWaitsのRain Dogsあたりを思わせるような無国籍風のバックサウンドを従えて、バリエーションに富む楽曲をじっくり歌いこんでいる。Richard Pryorに捧げた曲を冒頭に持ってくるあたり、いろいろな意味でなかなか骨のある人に違いない。
さらっと「バックサウンド」と書いたが、普段は主にジャズに関心のある人間としては、よくもまあこれだけのメンツを集めたなあと感心する。なにせピアノを弾いているのはBrad Mehldau(最高)、ベースはMe'shell Ndegeochello、ドラムスはBrian Blade、加えてギターはMark Ribotです。おまけに、なぜかOrnette Colemanが入っていて、いつもの調子で適当に吹き流しているのだが、これがまた良い。フリージャズの開祖云々という前に、やっぱりこの人は本物のブルーズマンなんだなあというのがよくわかる。
と、なんで3年も前に出たアルバムの話を今ごろしているのかというと、たまたまBGMでかけていたんだが、最後のトラックが終わって無音が2-3分、と思ったら突然Ornette Colemanがソロで吹き初めて、なんと10分くらいシンセ(?)の音をバックに吹いていることに今日になって初めて気づいたのでした。隠しトラックというやつなんでしょうが、これがまた素晴らしい。しかしこんなトリックに3年も気づかなかったとは不覚。
2007-08-30
_ [Reading] 俺流プロトコル実装入門 / 今村謙之監修 新里祐教、作久川剛、遠藤正仁 共著
先日とある会合で監修者の今村さんにお会いして、この本を頂いた。ミーハーなのでサインまでしてもらった。ちなみに、まだ全然読みきれていません。なにせ600ページ弱もあるんだもの。
SIPからルーティングがらみをごっそり切って簡略化した「PIP」なるプロトコルをでっち上げ、PIPのプロトコルスタックに加えてそれを使ったチャットアプリを作るところまで面倒見ましょう、というのが全体の流れ。ネットワークの基礎的な話から始まり(パケットスニファの使い方含む)、プロトコルの設計(シーケンス図の書き方含む)や仕様策定のかんどころ(RFCの書き方含む)、仕様を元にしたプロトコルスタックの実装、クライアント(チャットアプリ)の設計と実装(Eclipse VisualEditorプラグインの紹介含む)、というふうに、必要になりそうな知識は広く浅くではあるものの(というかどちらかと言えば相当な初歩から)一通り全部カバーしている。本が厚くなるのを恐れずとにかくてんこ盛りに内容を盛り込む、というあたりが、なんだかアメリカの教科書みたい。私はCS系の学部の出じゃないのでよく分からないが(なので元来この本を正当に評価する能力もないのだが)、こういうのを使って大学の学部レベルで授業をやったりすると、きっと教わるほうには相当な刺激になるんでしょうね。まあ、教科書として使うには、書名がくだけすぎのような気がせんでもないけど…。サンプルコードはJavaで書かれているが、私の貧弱極まりないJava知識でもどうにか読みこなせる程度なので大丈夫。
どうでもいいところにいちゃもんをつけるとすれば、65ページでは「TLSも使えるようにします」と宣言しているのに、それっきり暗号化の話が出てこないのが残念と言えば残念。書き忘れたのかな? 通信を考える以上、きょうび経路の暗号化というのは大きな問題になるはずなので。
_ noritsuna [監修など、いろいろとやったものにございます。 読んでいただいてありがとうございます! まさに、大学の学部生など全く..]
_ katsukane [ 俺、これに入ってる'Stop'を、日経CNBCの「Tonight Show」のゲストで歌ってるのを見たんですよ。 ..]
_ mhatta [確かに、Tonight ShowやLate Showでは中堅どころや割とマイナーな人でも呼んで歌わせるんですよね。内..]