2007-11-25 [長年日記]
_ [Reading] 升田将棋の世界 / 真部一男
将棋の真部一男八段が亡くなったそうだ。インターネットのおかげで最近になって再びプロの将棋を観戦するようになったのだが、10月に行われたおそらく最期の対局(対豊島将之四段戦)は、まだ互いの駒がぶつかってすらいない、開始直後の局面でいきなり投了するという不可解なものだった。相当ひどい体調なのだろうと思っていたら順位戦休場の告知が出て、最終的には亡くなった、と。昔から酒量の多さで名の通った人だったが、やはり肝臓か。55歳というのは若死の部類でしょうね。
私は小学生のときに故・原田泰夫九段の書いた入門書(書名は失念)で将棋のルールを覚えたのだが、巻末に棋士紹介みたいなのがあって、そこに唯一七段で載っていたのが真部だったと記憶する。当時はA級に昇るか昇らないかぐらいのころだったはずで、相当将来を嘱望されていたのだろう(そのころの様子は河口俊彦の「対局日誌」の何巻目だかに活写されている)。結局その後は奇病あり離婚ありで棋士としての実績も鳴かず飛ばずだったが、陳腐な言い方をあえてすれば、記録よりも記憶に残る棋士だったということになるのかもしれない。体力面で常に不安を抱えつつ、多かれ少なかれ体力勝負である現代将棋の土俵で戦い続けなければならなかったところに、真部の不幸があったとも言えるだろう。
この本は真部が専門誌に連載していた「将棋論考」の中から、昭和の天才棋士、升田幸三の棋譜に関するものだけを30本選り出したもの。対大山康晴戦のような有名なものに加え、マイナーな棋士やアマ最強を謳われた真剣師、小池重明との棋譜も収めている。棋譜解説以外のマクラの部分は執筆当時の真部の身辺雑記なのだが、晩年の升田のエピソードや芹澤博文の思い出、ガルリ・カスパロフとディープブルーのチェス対戦、ネット対局の話なども出てきて、なかなかおもしろい。真部は名文家とは言えないかもしれないが、流れと勢いのある文章にはなかなか味がある。将棋にあまり馴染みの無い向きでも十分楽しめると思う。
真部8段(9段は追贈)の最後の対局は その後波紋を呼びます。<br> 投了時は大ポカか? とまでいわれた手が その後の4二角を用意した 絶妙の手だったらしく・・・ <br> 弟子の小林6段に あと一手さしたかったと病院でいったそうです。<br> 真部9段の通夜の日 順位戦のさなか 大内9段と村山5段戦<br> で同じ局面があらわれたらしい。 <br> それだけでも かなりまれなことなのに <br> 大内9段は 絶妙手4二角!<br> 以下大熱戦となります 詳しくは 関係各誌をお読みください。 将棋を知らない私でも 感動しました。<br> <br> <br> 真部9段は 棋界一といわれた美男子で かつ文才もあり 将棋論考はわかりやすい文章と 冷静な観察 評価で人気コラムでした <br>