2006-11-16 [長年日記]
_ [Music] Live At The Whisky A Go Go / Herbie Mann
ハービー・マンと言うととりあえずメンフィス・アンダーグラウンド(完全生産限定盤)(ハービー・マン/ロイ・エアーズ/ラリー・コリエル/ソニー・シャーロック/ミロスラフ・ヴィトウス)なのかもしれないし、ハードコアなジャズ原理主義者(そんなのが今どき生き残っているのかどうか知りませんが)は1950年代のフツーにいわゆる世間的なジャズをやっているやつやビル・エヴァンスとの共演作しか認めないとか言い出すのかもしれない。しかし、私にとって一番カッコいいハービー・マンはアトランティックの諸作、特にこれである。私が持っているのは昔出ていた日本盤CDで、今Collectablesから出ている輸入盤CDだとMississippi Gamblerという別の作品とカップリングされているようだが、ようするに最初の2曲です。2曲だけとは言え両方とも15分程度の長尺。
これは1968年、今も健在の有名クラブウィスキー・ア・ゴー・ゴーで行われたもの。ちなみに漫画しか読まない奴は日本にあると思っているかもしれないが、本物のウィスキー・ア・ゴー・ゴーはロサンジェルスにある。今も昔もここでかかるアクトの中心はロックであり、当時のマンの人気がジャズというジャンルをはみでたものだったことが如実に分かる場所設定だ。
このアルバムで素晴らしいのは圧倒的に1曲めのOoh Babyで、冷めているようで熱いサイケデリックな曲調がまず素晴らしい。暑苦しいスティーヴ・マーカスとクールなマン(とロイ・エアーズ)の対比がまた素晴らしい。粘っこいミロスラフ・ヴィトゥスが実は演奏全体をコントロールしていてこれも素晴らしい。ソニー・シャーロックは後年に比べれば案外普通だがまあ素晴らしい。手堅いブルーノ・カーはあまり目立たないが、当然素晴らしいんじゃないでしょうか。たぶん。
1曲めがやばいので2曲めは何度聞いてもあまり印象に残らないのですが、ルーファス・トーマスのヒット曲を下敷きに、全員がやりたい放題やっていて別に悪いわけではない。まあでも1曲めだけでもおつりが来ますよ。