My Human Gets Me Blues

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2006-11-09 [長年日記]

_ [Mingus] Music Written For Montrey 1965, Not Heard...Played in Its Entirety At UCLA, September 25, 1965 / Charles Mingus

At UCLA 1965(Charles Mingus)

通称「At UCLA 1965」として知られている作品。このクソ長いタイトルが原題である。元はミンガスの自主レーベルCharles Mingus Enterprisesからメールオーダーでのみ手に入ったもので、それっきり今まで今年になるまで40年間再発されたことはない(と思う)。もちろん初CD化。

経緯はタイトルに出ているとおりで、元々1965年のモンタレー・フェスティヴァルで披露するつもりで書き上げた曲とアレンジだったのが(前年同じフェスに出演したときの模様はミンガス・アット・モンタレイ(チャールズ・ミンガス/ジャッキー・バイアード/ロニー・ヒリヤー/ルー・ブラックバーン/ジョン・ハンディ/チャールズ・マクファーン/バディ・コレット/ダニー・リッチモンド/レッド・カレンダー)として、こちらはずいぶん昔からCDになっている)、フェス運営側から割り当てられた時間が短いと喧嘩になり出演拒否、フェスの翌週UCLAで改めて演奏した、というものである。録音はUCLAの大学スタッフ(学生?)が行ったもので、マイクの立て方など、正直言って素人レベルの仕事だ。おまけにどうもマスターテープも無くなっていたようで、このCD化にしても結局はLP起こしのようである。よって音質を云々するようなものではないが、一応リマスタリングは名人ジャック・タワーズが手がけているので、聞きにくいということはない。CDになっただけありがたいと思わなければなるまい。

内容はと言うと、ピアニストがいないのでミンガスが自分でピアノを弾く局面が多く、おまけにリハーサル不足でミンガス以外がとちったりよろよろしたりする部分も散見される。あまりに不出来なのでミンガス先生激怒のあまりステージからホーン陣を半分以上追い出したり、いかにもミンガスならではのワークショップ、公開リハーサルという感じのゆるゆるな代物だ。ただ、特にCD2枚目で顕著なのだが、全く予想外のタイミングで突然びっくりするくらいに高揚する瞬間が訪れる。こういうのを見せられると、やはりミンガスは格が違うと言わざるを得ない。

ライナーノーツが傑作で、ミンガス自身が描いた絶望的に下手な販促用(というか厳密には反ブートレグ)漫画が載っている。あまりに下手なので、プロがアメコミ風に描き直したものも載っている。いつも思うのだが、ミンガスの音楽は理解できますが、ミンガス当人の行動はいまもってよく理解できません。